野村熱投!マジック点灯呼ぶ7回1失点 ピンチで志願のビシエド斬り
「中日1-1広島」(8日、ナゴヤドーム)
広島・野村祐輔投手(28)は迷わず勝負を決断した。1-1の同点に追いついた直後の七回だ。先頭への死球から、2死二塁のピンチを招いた。続くビシエドに対して、敬遠策も考えられる場面。マウンドで畝投手コーチに「勝負したいです」と訴えた。
際どいコースで攻め、最後は真ん中低めで動いたツーシームで三ゴロ。窮地を脱すと、グッと握った右拳に意地を込めた。
優勝マジック点灯がかかる大一番。二回無死一、三塁から松井雅の二ゴロの間に先制点を与えたが、その後は粘りの投球を展開。7回8安打1失点。白星こそ付かなかったが、多彩な球種でコーナーを突いて、追加点は許さなかった。
高い修正能力こそ、野村の真骨頂だ。それは日頃の練習に表れている。キャッチボール相手の大瀬良は「シュート回転しても次のボールはビシッとくる」と驚く。投手キャプテンは高度な技術と頼もしい背中で、若い投手陣を引っ張っている。
「序盤球数が多くなったが、粘って投げられたと思います。調子どうこうよりもピッチング自体は悪くなかったのかなと。立ち上がりの球数が抑えられていれば、もう少し長く投げられたかなというところです」
先発の大黒柱らしく120球の熱投で優勝マジックをともした。「これからです。一つ一つ、1試合1試合しっかりやるだけです」。静かな語り口調に貫禄がにじんでいた。