薮田崩れた 鯉マジック足踏み…我慢の投球も粘れず押し出し
「広島0-5ヤクルト」(19日、マツダスタジアム)
広島・薮田和樹投手(25)が今季3敗目を喫した。6回1/3を投げ、10安打4失点。降板後に2番手・中田が打たれ、前回の完封劇再現はならなかった。打線もヤクルト・小川を打ち崩せず、7月5日・巨人戦(マツダ)以来、今季7度目となる完封負け。優勝へのマジックナンバーは25のまま、足踏みした。
薮田はぼう然とした表情で、試合を決められる一発をベンチから見届けた。1点ビハインドの七回1死満塁。2番手・中田にピンチ脱出を託したが、山田にまさかの満塁被弾。試合後は言葉少なに「途中で代えられてしまったところが…。今日はこういうピッチングだったので」と視線を地に落とした。
悔いが残るマウンドとなった。交代時点で球数は112球。まだ余力十分だった。しかし、「ここがいっぱい」とベンチは判断。緒方監督は「回の入りのバランスが悪かった。カットボールにしてもコントロールし切れていなかった。ツーシーム系にしても、もう一つ空振りを取れるような球じゃなかった」と“タオル投入”の理由を語った。
初回から我慢の投球を続けていた。最速153キロの直球を中心に走者を出しながらも、ホームは踏ませない。四回はバレンティン、山田に連打されたが、リベロを三ゴロ併殺打に斬り、後続も断った。五回も2死二塁で坂口を真ん中低め148キロで見逃し三振。懸命にこらえていたが、六回に崩れた。2死満塁としながら、7番・中村に痛恨の押し出し四球。ここ一番でカットボールの精度を欠いた。
前回12日・巨人戦(マツダ)は菅野に投げ勝ち、プロ初完投初完封を1-0のスコアで飾った。前日18日には「どれだけいいピッチングをしても次を抑えないと意味がない」と決意を語っていた。だが、気負いすぎたのか、警戒していた山田、バレンティンの2人に計5安打され、「一発があるバッターなので、ちょっと意識しすぎました」と悔しさをにじませた。
それでも最後は「次、頑張ります」と前を向いた。自己ワースト10安打を浴び、7月29日・ヤクルト戦(マツダ)以来となる今季3敗目を喫した。黒星を成長の糧にして、さらなる高みを目指す。