ジョンソン 復活星で鯉に再点灯「M21」 球団史上最速タイ70勝到達
「広島9-1中日」(25日、マツダスタジアム)
左太もも裏の筋損傷から復帰した広島のクリス・ジョンソン投手(32)が8回2安打無失点で7月12日・DeNA戦(マツダ)以来の今季5勝目を挙げた。チームの連敗は3でストップ。昨季と同じ117試合目、球団史上最速タイで70勝に到達し、2位阪神が敗れたため優勝へのマジックナンバー「21」が再び点灯した。横浜で悪夢の3試合連続サヨナラ負けを喫したが、本拠地からリーグ連覇へ再スタートじゃ!
エースが横浜の悪夢を拭い去った。八回を三者凡退に抑えると、ベンチで緒方監督とがっちり握手。白星はもちろん、首脳陣からのねぎらいの言葉が何よりうれしい。故障から1軍復帰したジョンソンが鮮やかな復活を遂げた。
「今シーズンは苦しいケガに悩まされた。こういう形でチームに貢献できてうれしい」
7月21日・中日戦以来、約1カ月ぶりのマウンド。初回から、エースの姿を示した。右打者に最速149キロの直球、カットボールを決め、カーブ、チェンジアップで手玉に取った。五回2死までノーヒット。高橋に初安打されたが、続く武山は見逃し三振。六回は味方の失策も絡み、1死二塁のピンチを背負ったが、きっちりと後続を断った。
七回終了後、畝投手コーチから「八回も大丈夫か?」と聞かれると「イエス」とうなずいた。結局8回を投げきり2安打無失点。「自分が投げる試合はなるべく中継ぎ陣を休ませようという気持ちで投げているんだ」。貫禄の101球で久々の5勝目を手にした。
緒方監督から後半戦のキーマンに指名されながら、7月22日のランニング中に右太もも裏を痛め、今季2度目の離脱。指揮官からは「何をやっているんだという感じ。せっかく今から大事な戦いが始まるというのに。情けない」と厳しい言葉で叱咤(しった)された。3年契約の1年目。度重なる離脱に、周囲からは厳しい声も聞こえてきた。
信頼を取り戻そうと2軍降格後は畝コーチに「早く投げたい」と訴え続けた。だが過ちを繰り返すわけにはいかない。佐々岡2軍投手コーチとベースカバーなど、投球以外の動きを入念にチェック。1軍の試合もテレビで目に焼き付けていた。だから3試合連続サヨナラ負けの悲劇も「チームとして悪い戦いはしていない」と分析。エースらしくチームの危機を救ってみせた。
お立ち台では「サイコーデス!」とお決まりのセリフでファンに感謝の思いを示した。この夜はカーリン夫人と愛妻の両親が球場で観戦。出遅れた助っ人左腕が家族はもちろんチームもファンも、みんなを笑顔に変えた。