松山でカープ9連勝!ついにマジック5 誠也の代役4番、9月打率は5割超
「中日3-4広島」(10日、ナゴヤドーム)
広島が39度目の逆転勝利で9月負けなしの9連勝を飾った。優勝マジックは「5」。勝利の立役者は、4番に座る松山竜平外野手(31)だ。1-3の七回に同点の12号2ランを放つなど3安打2打点と暴れ回った。9月の打率は驚異の・529で3本塁打、15打点。故障離脱の鈴木に代わる代役の4番が、リーグ連覇へチームを力強く押し進めている。
ヒーローインタビューでの開口一番。松山は、起死回生の同点弾をこう振り返った。「人生で一番、飛びました。完璧です!」。振り抜いた瞬間に、バットを高々と放り投げ、右手も突き上げた。右翼4階席に突き刺さる白球が、9連勝をたぐり寄せた。
2点ビハインドの七回だった。四球を選んだ丸を一塁に置き、出番が来た。マウンドには、この日から1軍復帰した岩瀬。「真っすぐを狙いながら、肩口からのスライダーを意識していた」。初球の内角スライダーに右肘をうまくたたむ。ファウルになってもおかしくないコースを、天才的なスイングで本塁打にしてみせた。
六回まで1得点。五、六回は得点圏に走者を進めながら、あと1本が出なかった。漂い始めた嫌なムードを、振り払う会心の一撃。緒方監督は「すごいね。あんなところで打って。絶好調だね」と賛辞を惜しまなかった。
松山はこの日、3安打の猛打賞で2打点をマーク。これで9月の月間成績は打率・529、3本塁打、15打点だ。鈴木が右足首を骨折して以降から務める4番での打席も、打率・477、3本塁打、17打点と勝負強さが光る。「走らせたら第4コーナーで失速するけど、バットを持たせたら天才的」と松山を評する石井打撃コーチは「アイツの活躍がチームにギアを入れてくれる」と目尻を下げた。
昨オフに「4番奪取」を宣言した松山。だが、その座には鈴木が座っていた。故障による離脱で現在は代わりに大役を担うが「楽しくやらせてもらっている。4番は誠也なので、それはずっと変わらない」。貫くのは自然体。どの打順であっても、自らのスイングをすることだけを心掛けている。
昨年の9月10日は、東京ドームで25年ぶりの悲願を成し遂げた。「覚えている」。それから1年。今年も歓喜の瞬間を味わうために戦ってきた。優勝マジックは「5」。ゴールテープは、目の前にある。12日のDeNA戦から本拠地で5試合を戦う。「9月は全部勝つと言って、全部勝っている。このまま勝って、マツダで優勝を決めたい」。力強く言ったアンパンマンの言葉がチーム、そしてファンの思いだ。