石井打撃コーチが語る鯉の強打の秘密 攻撃力引き出した「走りのカープ」

 広島の石井琢朗打撃コーチ(47)が、リーグ連覇を達成した今シーズンを振り返った。チーム打率、総得点、本塁打はリーグトップ。セ界最強打線の礎をつくった。4番・鈴木についてや、これから目指すチーム像などを本音で語った。

  ◇  ◇

 今年は信じられないような負け方、ひっくり返され方をした。だからマジックが減っても、最後まで何があるかわからないという気持ちはあった。一戦一戦という気持ちは昨年よりも強かった。

 今季は途中から鈴木が4番に入った。ただ、求め過ぎてはいけない。彼が感じることを打席で表現してほしいと言った。型にはめるのは早い。4打席とも違うタイミングの取り方をするときもある。試しながらいいものをつくっていければいい。経験を積み重ねて2、3年後に鈴木誠也という4番がつくられることになる。

 今季、打線で核になっているのは丸で間違いない。得点できるかできないかは、彼にかかっていたと思う。もちろん、その前を打つ田中は目立ってはいないけど、貢献度は高い。打席の中で意思表示ができている。必然的に取りに行く四球がある。だんだん1番打者らしくなってきた。

 他球団が補強した中で、去年と同じメンバーで同じような戦い方ができるか保証はなかった。レギュラーはもちろん、控え選手もレギュラーに近いくらいの力をつけるために、日本一を逃した去年の秋から東出、迎打撃コーチらと取り組んできた。僕たちの理想はもうちょっと高い。ポテンシャルが高い選手はいるし、もっと高いところを目指していきたい。

 理想は2つの打線。前半と後半で、違う打線を組んでもチーム力が変わらないということ。攻撃は打つだけではない。投手のリズムをいかに崩すかは走塁。走ることで守備陣形を動かすこともできる。野球で一番、難しいのは走塁で、それこそが攻撃力の中で一番欠かせない。そういう走塁を絡めた攻撃ができているのが今のカープの打線。1、2点勝っている後半は、スタメンに比べれば、松山に代わって野間が入ったりするので、打力でいえば落ちる。でも、野間には松山にない走力がある。それを生かせるようになれば、違う顔の打線ができる。各ポジションにレギュラーが2人いるという攻撃陣をつくりたい。

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