リリーフ陣の踏ん張りがあってこその“逆転の鯉”
相手チームにとっての脅威は、広島の逆転力だった。優勝までの84勝のうち、逆転勝利はリーグ最多の41試合。粘り強い攻撃はもちろん、中継ぎ陣の踏ん張りも大きく影響した。畝投手コーチは「個々が自分の役割をしっかり分かって与えられた場所で力を十分に発揮してくれた」と振り返る。
今季はジャクソン、中田、一岡、今村、中崎の5人が50試合以上に登板し、抜群の安定感を誇った。他にも先発から中継ぎに回った九里をロングリリーフ要員として起用。先発投手の完投数は、昨季の「5」を下回る「4」となったが、層の厚いリリーフ陣が試合終盤を支えた。
一方で、絶対的な抑えは不在だった。本来なら、守護神は昨季34セーブの中崎。しかし、開幕直後に腰痛症で離脱するなど、状態が上がらず今村が代役を務めた。シーズン終盤からはダブルストッパー制。畝コーチは「状態を見て起用していた。固定しなかったという状況の中でしっかり対応してくれた」と高く評価する。
若手も成長。シーズン中盤から先発に回った薮田が14勝、岡田は12勝の活躍で、優勝に大きく貢献した。野村、大瀬良も9勝を挙げた。開幕から先発ローテーションを大きく崩すことなく戦うことができたのも、連覇できた要素の一つだ。
リーグトップの破壊力を持つ打線の援護が投手陣の士気を高めていた。今村は「点を取られなければ、野手が逆転してくれるという雰囲気がブルペンにはあった」と話す。
誰もが同じ思いでマウンドに立っている。確かな信頼のもと、しっかりと投打がかみ合うことで逆転勝利を呼び込む。快進撃へとつながる大きな要因となった。