鯉弟 日本一 1軍より先に舞った V弾!坂倉MVP「結果を残せて良かった」
「ファーム日本選手権、巨人2-5広島」(7日、KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎)
兄貴、お先に!ウエスタン・リーグ覇者の広島が5-2でイースタン・リーグ優勝の巨人に逆転勝ちし、26年ぶり2度目の出場で初の日本一に輝いた。七回に勝ち越し3ランを放ったルーキーの坂倉将吾捕手(19)が最優秀選手賞に選ばれた。33年ぶりの日本一を目指す広島1軍にとっても、大きな励みになる勝利となった。
赤ヘル弟が兄貴より一足早く、日本一へ駆け上がった。巨人最後の打者・北を二ゴロに打ち取ると、選手はマウンド付近に集まり、人さし指を突き上げて喜びを表現した。体重102キロの巨体で7度も宙に舞った水本2軍監督は「少ないチャンスで集中力を発揮してくれた。カープらしい野球ができた」と選手たちをたたえた。
さすが兄弟だ。兄貴分の1軍がシーズン中に幾度となく見せつけた終盤の逆転劇を、弟分もやってのけた。2点を追う七回、巨人2番手の高木勇を攻めた。堂林の左前打を皮切りに小窪、美間の連続適時打で同点に追い付いた。
なおも1死一、二塁の好機に新人の坂倉が勝ち越し3ランを右翼席に運んだ。「どんな球が来ても、初球から振るつもりだった。見送ったら負けだと思った」。代わったばかりの1軍経験も豊富な左腕、森福のスライダーを鋭く振り抜いた。
昨秋のドラフト4位で入団した高卒ルーキーながら2軍正妻の座を奪い、打率はリーグ2位の・298をマーク。シーズン終盤には1軍出場も果たし、プロ初安打初打点も記録した。「1軍ではタイミングやテークバックの位置を学んだ。いい感じではまりつつある中で結果を残せて良かった」と真っ黒に日焼けした顔に笑みを浮かべた。
初優勝が懸かった一発勝負の舞台にも物おじすることはなかった。「自分は普段から一日一日が一発勝負だと思ってやっている。だから、いつもと変わりなく臨めた」。守りでも同じ高卒新人の先発・高橋昂を好リード。好守に持ち味を発揮し、MVPを獲得。賞金50万円の特別ボーナスも手に入れた。
広島は前回、ウエスタン・リーグを制した91年も巨人と対戦。降雨コールドで引き分けとなり、翌日の再試合で敗れた。26年前の借りを返しての2軍日本一は、33年ぶりの日本一を目指す1軍にとっても大きな励みになる。水本2軍監督も「これを弾みに頑張ってほしい」とエールを送った。球団史上初の同時日本一へ、あとは兄貴が結果を出すだけだ。