鯉ドラ6平岡歩む「薮田道」大学0勝の先輩お手本に…未完の大器からエースに
広島からドラフト6位指名された平岡敬人投手(22)=中部学院大=が、名城大との三連盟王座決定戦が雨天中止となった28日、岐阜県関市にある野球部寮で取材に応じた。大学時代は故障に泣かされ、通算3勝も素質は十分。大学時代0勝ながら今季、最高勝率のタイトルを獲得した薮田のように、プロで才能を開花させる。
類いまれな素質が、花咲くかもしれない。カープからのドラフト指名に平岡は心を躍らせていた。大学通算3勝。4年間で華々しい実績は残せなかったが、未完の大器は明るい未来を信じている。
「(薮田さんは)リーグ戦であまり投げていないと聞きました。自分も2桁勝利するまで成長させてもらえるかもしれない。楽しみがあります」
最高の手本がカープにいる。プロ3年目の今季、大ブレークを果たした薮田だ。亜大時代は故障に見舞われ、通算0勝。それでもポテンシャルの高さが評価され、ドラフト2位で入団すると、今季は15勝を挙げて最高勝率のタイトルを獲得。CSファイナルSでは初戦の先発を任されるなど、一気にエース格まで上り詰めた。
平岡も薮田同様、ケガに泣いてきた。大学2年時に最速152キロを記録しながら、3年時に右肩関節唇を発症。完治した今季も投球フォームで試行錯誤。ようやく光が見えた今秋は右脇腹を痛め、本来の力を発揮できなかった。
中部学院大・原監督は「試合と練習が違う。足りないのは自信だけ」ともどかしそうに言う。厳しい言葉は期待の裏返し。誰より平岡の力を知るからこそだ。4年前、兵庫・育英高に足を運び、平岡のポテンシャルにほれ込んだ。故障がちで、野球を辞めることを決意していた右腕に「絶対にプロに行けるから、うちに来い!」と熱く訴えた。やはりモノが違う。プロ入りが決まると肩の荷が下りたのか「すごい球を投げていた。解放されたのかな」と改めて才能に舌を巻いた。
「試合になるといつも考えてしまって弱気になっていた。不安があった。プロは厳しい世界なので強気に攻めていきたい。もっと自分を出していきたい」
平岡はイメチェンを決意し、先輩をグイグイ質問攻めにするつもり。今年2月にチームで訪れた日南キャンプでは、野村のブルペン投球に圧倒された。「迫力があってコントロールがすごかった。勉強させてもらいたい」。弱い自分とはおさらばだ。強い心で、勝負の世界を生き抜いていく。