誠也「ナイス、ケガ!」考え方変わった…「感情的な」自分見つめ直した
「広島秋季練習」(5日、大野練習場)
右足首骨折からの復帰を目指す広島・鈴木誠也外野手(23)が5日、広島県廿日市市の大野練習場で順調な回復ぶりを披露した。現在は打撃練習やダッシュを行うなど、懸命にリハビリに励んでいる。また、負傷を機に自分を見つめ直すことができたことで「ナイス、ケガ!」と前向きに捉えている。レギュラー安泰との自覚はない。6年目の来季に向けて、さらなる進化を誓った。
精悍(せいかん)な表情が日々の充実感を物語っていた。右足首骨折からの完全復活を目指す鈴木。以前の状態に戻すだけではない。来季は心身ともに成長し、結果を残すために奮闘している。
「ケガをして考え方が変わってきた。いろんなことに挑戦したいと思っている。自分に合った、いいモノを探していきたい」
今シーズンは序盤から4番に座った。115試合に出場し、打率・300、26本塁打、90打点。途中離脱を余儀なくされたが、好成績でリーグ連覇に大きく貢献した。一方で課題も見つかった。「今季はレフト方向への打球が多くなってしまっていた。来年はしっかりセンター方向へ打てるようにしたい」と冷静に分析する。
右足首にギプスが装着された状態でもバットは握っていたが、10月末から本格的にマシン相手の打撃練習を始めた。この日も一人黙々と打ち込み、室内練習場に快音を響かせた。時折、撮影してもらった動画をチェック。改良する打撃フォームを試行錯誤しながら、より確実なモノへと近づけていっている。
まだ不安はあるが、ダッシュも再開している。室内練習場に隣接するグラウンドで力強い走りを披露。「9割くらい」という力で約50メートルの直線を駆け抜け、順調な回復ぶりをアピールした。
戦列を離れた期間を有意義に過ごす。「今季は(結果を出せず)感情的になっていた部分もあった。ケガをしないで乗り切っていたら、何も変わらないままだったと思う」と自己分析する。
大きな痛みを負ったが、マイナスには捉えていない。「僕はケガして大正解だった。ケガをしないと気付けない部分もいっぱいあった。ナイス、ケガ!」とまで言い切る。
現在はリハビリを中心にランニングやダッシュ、ウエートトレなどに重点を置く。「少しずついろんなことをできるようになってきている。今のところ順調。来年の春は体作りしたモノを野球に合うようにもってきたい」と前を向く。
チームの主力選手となったが、自分ではまだレギュラーだと思ったことはない。ケガを機にゼロからの再スタート。6年目を迎える来季に懸ける覚悟は十分だ。2018年シーズンへ、戦いは既に始まっている。