ドラ1中村、決意の一発 高校最後の試合でV2ラン締め
「高校野球・定期戦、広陵6-3広島商」(19日、コカ・コーラウエスト野球場)
広島のドラフト1位・中村奨成捕手(18)=広陵=が19日、高校生活最後の対外試合を本塁打で締めくくった。コカ・コーラウエスト野球場で行われた広島商との定期戦に「3番・捕手」で出場。同点の五回、高校通算45号となる決勝2ランを左越えに放った。節目の一戦を有終の美で飾り、慣れ親しんだ広陵のユニホームに別れを告げた。
笑顔の花が咲いた。広陵のユニホームを着て臨む最後の一戦。類いまれな打力と勝負強さでスタンドにアーチをかけた。高校通算45本目の本塁打は勝ち越しの決勝2ラン。中村のバットがチームを勝利に導いた。
「最後だと思って一打席を大事にした。3年生全員と戦って、みんながはしゃいでくれてうれしかった。公式戦とは違う楽しさがありました」。苦楽を共にしてきた同級生、そして中井監督に贈る一撃だった。
3年生のみが出場した広島商との定期戦。2-2の五回、1死二塁で出番が来た。2球目。内角高めの直球を振り抜いた。肘を畳みはじき返した白球は、一直線に左翼フェンスを越えた。四回に2点を奪われ同点とされていただけに「何とかしたかったんです」と集中力を発揮。再びリードを奪う2ラン。無類の勝負強さだった。
八回にも左前打を放ち、3打数2安打1本塁打2打点。走塁でも「中井先生(監督)に『行け』と言われたので」と初回、四球で出塁すると俊足を生かして二盗を決めた。強肩を発動する場面はなかったものの強気のリードで投手を引っ張る。走攻守三拍子そろった逸材。改めてその存在感を示し、高校最後の対外試合を締めくくった。
来年1月の入寮まで2カ月を切った。プロでの戦いを前に体力、技術不足を自覚する。現在の体重は77キロ。80キロを最低限の目標に設定して食事を取り、筋力トレに励む。バットは9月のU-18W杯後から木製バットでの練習を本格化した。「まずは強い打球を打つことを心掛けて振っています。少しずつ感覚は良くなっている」。着実に前に進みながら準備している。
「3年間、やってきたことを全て出し切りました。中井先生には感謝しかない。ほかの3年生や控え選手などが支えてくれたおかげで野球ができた」。今夏の甲子園では85年の清原(PL学園)を超える1大会個人最多6本塁打を記録した。広陵に入学したからこそ、今の自分がある。さまざまな人に巡り合い過ごした高校生活に、今は感謝するだけだ。