薮田が語る【後編】東京五輪に出てメダリストになりたい
広島の薮田和樹投手(25)が新年の誓いを立てた。昨季15勝を挙げ、最高勝率のタイトルを獲得した右腕は、シーズンを通して先発ローテを守り切るとともに、5完投を目標に掲げた。尊敬する元広島投手の黒田博樹氏(42)のように「エース」として信頼を勝ち取り、球団史上初のリーグ3連覇と34年ぶりの日本一へチームを導く決意だ。後編をどうぞ。
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去年を振り返ると、一番良い投球ができた試合は、プロ初完封できた巨人戦(8月12日)です。一方で一番悔しい登板になってしまったのが、CSファイナルSで2度目の登板だった第4戦です。立ち上がりから不安定なところがあって、試合を作りきれませんでした(4回0/35安打4四球4失点)。シーズン中にはなかった中4日でのマウンドが後から思えば難しかった。
自分では、プレッシャーや緊張感はあまりありませんでした。いつも通り投げていこうと思ってマウンドに上がったんです。だけど試合が始まってみると全然、思うような球が投げられなかった。第1戦で先発した後、体が回復していなかったことに気がつけなかったんです。
自分の中では第1戦の球数が64球(5回2安打無失点)と少なかったことで、次もいけると思っていました。それが油断というか…。試合中に何とか修正しなければいけなかったけど、結局はできませんでした。自分の状態を確実に知ることの大切さが短期決戦から得た教訓です。
もう一つ感じたのは、ピークを持っていくことの難しさ。初めて日本代表に選ばれ、日の丸をつけて国際試合に投げました(11月のENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017)。大事な初戦の韓国戦を任せていただいたけど、四回途中で降板しました。
僕とは対照的に、今永(DeNA)は台湾戦にピークを持っていき素晴らしい投球(6回3安打12奪三振無失点)をしました。日本シリーズを戦ったあとにもかかわらずです。ワンチャンスで結果を残す難しさも知ったし、それはシーズン中でも求められること。良い経験になりました。
20年の東京五輪に出たい気持ちがあります。五輪はスポーツの中で多くの競技者が目指す舞台。野球も金メダルを取るチャンスがありますし、単純にメダリストになりたいんです(笑)。日本代表に選ばれるためには、安定した数字を残せるかが重要になると思います。もう1段階、2段階成長していきたい。
このオフは投げることを継続してやっています。以前は肩を痛めていたこともあり、この時期は投げなかったんですが、16年のオフに投げることにも重点を置いて取り組んだ結果、去年は良い数字を残すことができました。だから、肩をなるべく動かした中で筋力アップなどを行っています。去年の後半は平均球速が落ちた。150キロが出た試合はあまりないんです。球威が落ちないようにするためにも、今の時期からしっかりとしたトレーニングをしています。
理想は1人の打者を5球以内で打ち取ること。だから四球も減らしたい。三振はここ一番という場面で取れれば良いです。開幕から先発ローテに入って1年間、それを守りたい。そして、リーグ3連覇と日本一を狙います。去年と同様に温かい声援をよろしくお願いします。