ドラ1奨成“雨れしい”1軍デビュー 向上心芽生えた「戻ってこられるように」
「広島2軍春季キャンプ」(10日、日南)
広島のドラフト1位・中村奨成捕手(18)=広陵=が10日、“1軍デビュー”を飾った。2軍投手陣は雨天のため東光寺球場ではなく、1軍の天福球場でブルペン投球。中村奨はブルペン捕手として帯同し、緒方監督や松田オーナーらが見守る中、3投手の球を受けた。1軍キャンプ地に足を踏み入れたことで「また、ここに戻ってこられるように」と早期の1軍昇格へ思いを強くした。
悪天候が、今後の糧となる貴重なひとときへと導いた。第3クール初日。東光寺球場には屋根付きのブルペンがないため、この日の午後、中村奨は天福球場に一時移動。室内ブルペンで2軍投手陣の球を受けた。1軍の舞台は“初体験”となったが「緊張はしなかった。頑張りました」と充実の汗を拭った。
ブルペン内で入念にストレッチなどのアップを終えると、定位置に就いた。松田オーナー、母・啓子さんが後ろで見守り、緒方監督とは昨年12月以来の“対面”。それでも硬くなるそぶりを見せず、飯田、戸田、ドラフト5位・遠藤(霞ケ浦)の球を計148球。心地良いミット音を響かせた。
2軍捕手陣では唯一の帯同だった。その意図を倉2軍バッテリーコーチは「(緒方)監督とか植田(1軍バッテリー)コーチにも見てもらいたかった。外で受けるのと室内では違いがある。何でもいい経験にして、吸収してほしい」と説明した。
まずは守備からのアピールを宣言しているドラ1ルーキー。2軍では捕手として数々の基本から教わる中、後ろに重心が乗っていた捕球体勢を改善した。植田1軍バッテリーコーチも「いい形の捕り方をしていた。ファームで修正して、その通りに捕っていた」と評価した。
もちろん、まだまだレベルアップすべき点も少なくない。倉コーチからは「まず、捕ることが一番大事なこと。目付けや足の幅、構え方、ミットの出し方、いろいろある。いい捕手には雰囲気がある」と指摘された。さらに声量が1軍ブルペン捕手よりも劣っていたことから「声で負けてどうするんだ!」とハッパも掛けられた。
ブルペンでの役目を終えた中村奨は、東光寺球場に戻って練習を再開。打撃練習の後には、室内でマシン相手に30分間の捕球練習も行った。「もっと元気を出して、またここ(1軍)に戻ってこられるように頑張りたい」。1軍の地を経験したことで、さらなる向上心も芽生えた。確かな成長曲線を描き続け、一日でも早く1軍昇格の壁をブチ破る。