中村奨、マルチデビュー 本人は大反省「自分のスイングできなかった」
「2軍練習試合、広島3-2セガサミー」(21日、天福球場)
宮崎・日南での2軍キャンプで調整している広島のドラフト1位・中村奨成捕手(18)=広陵=が21日、対外試合デビュー戦を2安打で飾った。社会人のセガサミー戦(天福)で「1番・DH」で先発出場し、七回に“プロ初安打”となる中前打を記録。同点の九回には中前に落ちる二塁打を放ち、船越の適時打でサヨナラの本塁を踏んだ。守備では七回からマスクをかぶり、2投手をリードして無失点に封じた。
開口一番、中村奨は反省点を口にした。対外試合デビュー戦で2安打を放っても、満たされない思いがある。「自分のスイングができなかった(2本目の安打も)あれはヒットじゃないと思っています」。高みを目指して歩む道は、始まったばかりだからだ。
七回無死一塁。左投手が投じた外角に沈むチェンジアップを中前に運んだ。2-2の九回無死では、詰まりながらはじき返した打球が中堅手の前にポトリ。快足を飛ばして二塁に滑り込んでサヨナラの好機を演出すると、船越の中前適時打で本塁を駆け抜けた。
多くの経験を積むため「1番・DH」で先発出場した。初回は初球を打って三ゴロに終わると、三回も同様に三ゴロに倒れた。五回はファウルで粘り四球を選んだ。3打席目まで安打が出なかったものの、首脳陣は打撃内容を評価した。
この日のテーマは①ストライクを積極的に振ること②追い込まれても簡単に三振をしないことだった。朝山2軍打撃コーチは「最初は体が固まって振れない選手が多い中、しっかり振っていけた。1年生としては、合格点をあげていい」と目尻を下げた。
守備では七回からマスクをかぶり戸田を2回、長井を1回リードした。「ピンチで攻めのリードができた」と中村奨。それでも課題はあった。七回無死は先頭打者の初球に簡単にストライクを取りにいき二塁打を浴びた。八回は2死二塁で戸田のワンバウンドしそうな直球にミットの出し方を迷い「反応が遅れた」。股間を抜かれる捕逸で進塁を許した。
デビュー戦で手にした収穫と課題に「必要なことがたくさんわかったと思う」と倉2軍バッテリーコーチ。猛省を促しながら、成長の糧としてくれることを期待した。
全体練習後、中村奨は「同じ失敗をしないように」と、朝山コーチらと居残りでティー打撃を行い、下半身主導の打撃フォーム習得に汗を流した。23日以降の練習試合にも数多く出場する予定だ。「プラスにしてほしい」と水本2軍監督。勉強の日々は続いていく。