薮田、圧投!3回無安打0封 新武器フォークも使える
「オープン戦、広島5-11楽天」(24日、コザしんきんスタジアム)
広島の薮田和樹投手(25)がオープン戦初戦となる楽天戦で先発し、抜群の安定感を見せた。3回34球を投げ無安打無失点。解禁したフォークで空振り三振を奪うなど、圧巻の投球で楽天打線をねじ伏せた。昨季、15勝し最高勝率のタイトルに輝いた実力に加え、新たな武器を手にした。開幕へ向け仕上がりは順調そのものだ。
外角低めに鋭く落ちた1球。124キロのフォークに薮田は手応えをつかんだ。ウイニングショットとしても使えるメドが立ちつつある。「ストライクゾーンに投げられたので良かったと思う」。目尻を下げて白い歯をのぞかせた。
三回1死だ。三好を1ボール2ストライクと追い込むと、坂倉からこの試合、最初で最後のフォークのサインが出た。迷いなく腕を振り抜く。ストライクゾーンからボールゾーンへ沈む球に、三好のバットは空を切った。
フォークは球種として持ちながら昨季は封印。変化球は落ちるツーシームやカットボールが主体だった。今季は他球団が自身への対策を強化してくるのは間違いなく、それを上回るために昨秋に解禁して磨いてきた。
当初はツーシームの状態が悪いときの「代役」と考えていた。だがキャンプを通じて精度の向上に手応えがあり、ツーシームとの併用を視野に入れる。「バッターのタイプや反応を見て使っていきたい」。2種類の落ちる球種を操り、投球の幅を広げていく構えだ。
3回、34球を投げ無安打無失点。二回、1死から四球で出塁させたが、次打者の右飛で走者が飛び出したため併殺となり、事なきを得た。今季は5完投を目標としており「球数を減らしていかないといけない」。遊び球はなく、攻めて楽天打線をねじ伏せたオープン戦初登板だった。「仕上がり?良過ぎ。抜群よ」とため息をついた阪神・飯田スコアラー。緒方監督も「順調に来ているね」とにっこりした。
昨季15勝し最高勝率のタイトルを手にした。今季は開幕ローテ入りが決定的で、開幕投手にも立候補している。昨年と状況が異なることに「結果を出すのが当たり前の立場になった。プレッシャーはあります」と言ったこともある。それでも前だけを向き、歩みを進めていく。
「良いキャンプを送れたと思う。フォークはもっと精度を上げていきたいですね」。今季を勝負の1年と捉える。開幕まで約1カ月。成績でも内容でも信頼を勝ち取るために、準備を整える。