広輔、弟・俊太の前で“初安打” 初回初球ガツン!兄の威厳見せつけた
「オープン戦、巨人(降雨ノーゲーム)広島」(25日、沖縄セルラースタジアム那覇)
広島の田中広輔内野手(28)が25日、巨人ドラフト5位で弟の田中俊太内野手(24)=日立製作所=に存在感を見せつけた。降雨ノーゲームとなった巨人とのオープン戦で、初回に初球をはじき返す左前打を放った。雨で弟の出場はかなわず、兄弟そろってグラウンドに立つことができなかったため、シーズン中の“競演”を心待ちにした。
兄の威厳を保つ一打だった。初回、先頭で打席に立った田中は、新外国人・ヤングマンが投じた初球の直球を力強く左前に運んだ。特に強く意識する逆方向への打球。三遊間を破り、相手ベンチに座る弟・俊太に貫禄を見せつけた。
「外の速い真っすぐをしっかり振れた。ファウルになって良いと思っていたけど、結果的にヒットになって良かった」。完璧な当たりに満足した様子はなし。表情を引き締め言葉をつむいだ。
一塁に立つと大きくリードを取った。ヤングマンと駆け引きをしながら二塁を狙うそぶり。2球目に盗塁のサインが出たものの二塁タッチアウト。それでも「スタートが切れて良かった」。新外国人投手のデータをきっちりと収集し、今季に生かしていく構えだ。
プロとなった弟・俊太とグラウンドで初めて再会した。試合前の記念セレモニーではツーショットを披露。本塁ベース付近で共に花束を受け取ると記念撮影し握手を交わした。「粋な計らいをしてもらいました。(巨人の)ユニホームは似合う。両親は喜びます」。心温まる瞬間に自然と表情は緩んだ。
二回裏の途中、雨脚が強くなり降雨ノーゲーム。ベンチスタートの弟が出場することはなかった。この日閉幕した平昌五輪では、スピードスケート女子の高木姉妹やカーリング女子の吉田姉妹、ノルディック複合の渡部兄弟らが注目を集めた。田中兄弟が球界を沸かせるのは持ち越しとなったが、「シーズンで実現できれば良い」と前を向いた。
走攻守でさらなるレベルアップを目指して過ごした1カ月が間もなく終わる。この日の左前打は1メートル98センチの超大型右腕から放ったものだ。角度のある速球を、初見で捉えたスイングに「(打ち返したときに)いい音がしていた」とにっこりの東出打撃コーチ。不動の1番に、死角は見当たらない。
「ここまでケガがなく過ごせた。それが一番。順調にできています」。田中は力を込める。チームの先頭に立ち、リーグ3連覇と日本一を目指す1年を、全力で駆け抜ける。