緒方鯉、弔い星 衣笠さんへ「日本一の報告ができるように戦いたい」
「DeNA2-7広島」(24日、横浜スタジアム)
衣笠さんへささげる約束の1勝だ。試合前、ショッキングな訃報に触れ、悲しみに暮れていた広島ナインが頼もしいほど奮起した。投打がガッチリかみ合い、首位奪回。緒方監督は「祐太(中村祐)が素晴らしいピッチングをしてくれた。会沢もナイスリード。打線もああやって(初回に)2点を取れたのが大きかった」とうなずいた。
理想的な展開だった。初回、丸の中越え二塁打で先制すると、会沢のソロや鈴木の犠飛などで効果的に追加点を奪った。中村祐も九回途中2失点の熱投。“鉄人魂”がチームに宿り、連敗中のムードを吹き飛ばした。
「僕もまだ信じられない。驚きました。横浜で解説に来られると思っていたので…」
衣笠氏が上行結腸がんのため23日に急逝。緒方監督は午前中、鈴木球団本部長からの電話で知らされた。横浜での再会はかなわず、沈痛な表情だった。
現役時代、度重なるケガに泣かされた指揮官にとって、鉄人・衣笠は憧れだった。監督就任後もチームを気にかけ、優しく声をかけてくれた。一昨年もそう。「25年ぶりに優勝した時、心から喜んでくれた」としみじみ。「ここから強いカープ、常勝チームを作ってくれ!」。大先輩と交わした約束を忘れるはずがない。改めて「カープの野球をやって優勝、日本一の報告ができるように戦いたい」と誓いを新たにした。
「大先輩にカープらしい野球を見てもらえるように。また明日から1試合1試合、しっかり戦っていきたい」
笑みも涙もない。リーグ3連覇の報告を必ず天国に届ける。