九里 ツバメ打線“圧投”今季初星 カープ 2位に今季最大4・5差&最多貯金11
「広島1-0ヤクルト」(20日、マツダスタジアム)
広島・九里亜蓮投手(26)が待望の今季初勝利を挙げた。プロ初完封、初完投こそ逃したが、8回5安打無失点と熱投。攻めの投球でわずか1点のリードを守り抜き、中崎とのリレーで40試合目にして今季チーム初の完封勝利。今季最多の貯金11をもたらした。2位・巨人とのゲーム差は今季最大の4・5。リーグ3連覇へ、このまま独走態勢に突入する。
晴れ渡った空の下、九里が快投を演じた。今月は雨で2度の登板機会が流れ、中13日の先発マウンド。だが、そんな影響をまるで感じさせない。むしろ、自分の持ち味を発揮する絶好の舞台だった。「行けと言われたところでしっかり投げられるように準備していたので、結果が出て良かったです」。殊勝な言葉を並べたお立ち台でも少しだけ胸を張った。
初回から、ちぎっては投げを繰り返した。捕手からの返球を受け取ると、すぐさまノーワインドアップの体勢に。「逃げの投球だけはしないように。攻めていくことを意識しました」。野手の再三の好守にも助けられ、ツバメ打線を牛耳った。
「九回(のマウンドに)上がれれば一番良かったと思うけど、9回投げきる投手になっていない。レベルアップしていかないといけない。次できるように頑張りたい」
プロ初完封を視界に捉えた八回攻撃。九里はベンチ前で、キャッチボールして九回のマウンドに備えていた。しかし、2死一、三塁の好機で打席が来たため代打を送られ、プロ初完封、初完投は幻に。それでも8回5安打無失点は堂々の結果。緒方監督も「2試合続けていいピッチングをしてくれた。流れによっては最後も行かすことも考えていたけど、流れの中で交代した」と説明。そして「気合が入っていた。(登板間隔が空いた中でも)しっかりこういうピッチングをしてくれた。次回もまた期待したい」とたたえた。
昨季9勝を挙げ、今季も開幕ローテ入りが最大の目標だった。だが他の投手との兼ね合いもあり、今春はオープン戦登板なし。先発が雨で流れ「持ってないですね…」と漏らしたこともあった。それでも、恨み節はこぼさない。「自分の実力です」と受け止めた。
同級生の活躍も励みだ。今季は同期の大瀬良が好調。チームトップの6勝を挙げ、先発陣を支えている。「切磋琢磨してやっていければいいと思うけど、まずは追いつけるように。追い越せるように頑張っていきたい」と九里。ようやく1勝。ライバルに負けじと、ここからスタートだ。
「1試合だけではダメ。続けていけるように頑張ります」
ヒーローインタビューでは最後まで白い歯を見せなかった。現状、先発ローテはジョンソン、野村、薮田の3人が不在。そんな窮地を九里が救った。