誠也 神っ“手”る 豪弾6号&今季初猛打ショー 逆転負けでも4番は全開
「広島7-8中日」(27日、マツダスタジアム)
広島が3カードぶりのカード負け越しを喫した。交流戦前最後の試合は痛い逆転負けとなったが、そんな中、鈴木誠也外野手(23)が存在感を発揮した。三回の6号2ランなど3安打で今季初の猛打賞を記録。七回には好走塁で一時勝ち越しのホームを踏む執念を見せた。鈴木が本塁打を打てば全勝だった“不敗神話”は崩れたが、調子は上向き。若き鯉のリーダーが29日から始まる交流戦でもチームを引っ張る。
惜敗の中で、4番の貫禄を示した。鈴木が6号2ランなどで今季初の猛打賞をマーク。「負けているので…勝たないと意味がない」と試合後は悔しさをかみしめたが、確かな輝きを放った。
豪快な一撃をかち上げたのは2点リードの三回1死一塁。大野雄の2球目、甘く入ったスライダーを逃さなかった。強振し、高々と舞い上がった打球は左中間席へ着弾。「積極的に思い切っていきました。亜蓮さん(九里)が頑張っていて、何とか援護したかった」。序盤優勢な展開に持ち込む2試合ぶりの一発だった。
足でも魅せた。同点の七回だ。先頭で左翼への二塁打を放って出塁し、続く新井の打球は一塁へのゴロ。これを一塁・ビシエドがはじいた。白球は一塁ファウルグラウンドを転々…。その間に鈴木は全力疾走で一気に本塁へ突入した。際どいタイミングのクロスプレーも判定はセーフ。中日からのリクエストでリプレー検証されたが、捕手のタッチの前に左手がしっかりベースに差し込まれていた。
一時勝ち越しのホームに、力強く右拳を握った鈴木。「(三塁コーチの)玉木(内野守備走塁コーチ)さんの指示通りに、思い切っていきました」。燃えたぎる勝利への執念を示した。
復調気配は漂っている。25日の5号ソロまでは17打席無安打だったが、この3連戦では全て複数安打を記録するなど11打数7安打。緒方監督は「体のキレが良くなれば、打撃の状態も上がってくるのではないか」とうなずいた。
この試合前まで鈴木が一発を記録した試合は5戦5勝。その不敗神話は途絶えたが、赤ヘル打線の最後まで諦めない姿勢は健在だった。1点ビハインドの九回も鈴木の安打から1死二、三塁と一打サヨナラの場面まで作り上げた。サヨナラの幕切れとはいかなかったが、指揮官も「最後の最後まで粘り強く、あと一歩のところまで攻撃してくれた」と評価した。
チームは得意の本拠地で4月8日以来の連敗。3カードぶりの負け越しも喫した。29日からはリーグ3連覇へ向けて重要な交流戦に臨む。「(パが相手でも)特に変えることなくいきます」と鈴木。最初のカードは西武3連戦。首位対決を制し、再び上昇気流に乗っていく。