「西郷どん」より松山ド~ン!故郷・鹿児島の仲間の前で逆転V2ラン
「交流戦、広島2-1楽天」(9日、マツダスタジアム)
強烈なアンパンチを食らわせ、広島が今季20度目の逆転勝利を飾った。0-1の七回、松山竜平外野手(32)が完璧な則本撃ちで、値千金の逆転5号2ランを左翼席に運んだ。チームは今季交流戦初となるカード勝ち越しを2連勝で決めた。貯金を2桁に戻し、再び勢いに乗っていく!
勝利への思いを乗せた白球が左翼席へ飛び込んだ。一塁を回った松山は、両拳を力強く握りしめ、ほえる。則本を一振りで仕留めた、値千金の逆転5号2ラン。「風に乗ってくれました」と謙遜しながら「最高の結果。最高にうれしかった」とほほを緩めた。
0-1の七回無死一塁。カウント2-2からの5球目、外寄りの147キロ直球をはじき返した。ライナー性の打球は切れることなく、左翼ポールの内側へ吸い込まれた。技術の高さを示す完璧な流し打ちだった。
「早めにタイミングを取って、真っすぐとフォークに対応した」。直球を確実に仕留められたのは四回の打席があったからだ。空振り三振に倒れたものの、ファウルで粘って11球を投げさせた。七回の打席は右足をわずかだが早く上げて、球を見る時間を長くした。打席の中で感じたことを即座に実践し、そして好結果につなげた。
七回無死一塁の一塁守備では、今江の三塁線へのバントに飛び出した。一塁を無人にしてしまい、内野安打でピンチを広げるミスを犯した。「迷惑をかけたので、打つ方では迷惑をかけないように」と雪辱に燃えていた。
日本球界を代表する右腕とは13年に2試合で対戦し、計5打数2安打1打点だった。今回は4打数1安打だったが、則本に強い印象を残す一打になったに違いない。
勇姿を見せたい人たちがいた。この日は地元の鹿児島県大崎町から「松山竜平選手後援会」のメンバー25人が訪れていた。入団当初に発足した後援会で、数年前から1年に一度、試合観戦してきた。
地元に帰ると後援会メンバーの自宅を訪れ、大好きなカレーに舌鼓を打つ。日頃の温かい応援に感謝の思いを伝えるため、野球教室を開くこともある。本拠地で今季初のお立ち台に上がると「オレやったよ!」と声を張り上げた。
交流戦4カード目にして、初のカード勝ち越しを今季20度目の逆転勝利で決めた。交流戦成績も5勝5敗の五分に戻した。「あと全部勝って、後半戦に勢いを付けて入りたい」。スタンドの3万1494人に向け、力強く宣言した。