4番の底力じゃ3安打5打点!誠也九回トドメ満弾 甲子園で虎3連倒
「阪神6-11広島」(24日、甲子園球場)
主砲の一振りでトドメを刺した。広島・鈴木誠也外野手(23)が今季2本目のグランドスラム。九回、1点を勝ち越し、なおも1死満塁から左翼ポール直撃の一発を放った。4番が3安打5打点の大暴れで、チームは今季5度目の同一カード3連勝。交流戦明けは負けなしで貯金も9まで戻した。
鈴木が4番の底力を示した。虎の守護神ドリスの内角151キロ直球を振り抜くと、打球は真っすぐに伸びて左翼ポールにガツン。今季自身2本目の満塁本塁打が、最高の場面で飛び出した。左翼席を赤く染めた鯉党はお祭り騒ぎだ。鯉の主砲が、追いすがる虎にトドメを刺した。
「たまたまです。僕じゃなくて、みんながつないでくれた。1つでも打点を挙げられたらと思っていました。最近は(4番の)仕事ができていなかったので、打点を挙げられて今日は良かったです」
6-6の九回。無死二塁から代打・堂林の送りバントした打球を、ドリスが一塁へ悪送球。その間に1点を勝ち越すと、なお1死満塁のチャンスで鈴木が打席に立った。わずか3球で1ボール2ストライクと追い込まれたが「最低でも犠飛、併殺崩れでも1点が入る」と頭の中は冷静に整理できていた。グランドスラムは通算4本目。満塁男がチームに3連勝を呼び込んだ。
タフな一戦だった。初回に菊池の中犠飛で先制し、六回は鈴木の一時勝ち越し打から、松山、野間の連続タイムリーなどで、一挙に5点を挙げた。しかし中継ぎ陣がつかまり、6-6の同点。乱打戦の主導権は阪神に傾いたかに見えたが、九回に再び5得点の猛攻を見せた。緒方監督も「最後、野手がもう一踏ん張りして最後の力を出し切った」と最敬礼。その中で鈴木は3安打5打点の大暴れだ。
つなぐ気持ち
今年は自然体で4番に座っている。鈴木は「4番は気にしていない。自分のスタイルは変わらない」と言う。初めて4番に座り続けた昨季は「自分が決めないと、ホームランを打たないといけない」という気持ちが強かった。だが今年は違う。「意識しすぎると自分の良いところが消えてしまう」と気付いた。あくまで「後ろにつなぐ気持ちで」。自分らしさを失わず、1打席に集中している。
「交流戦はあまり良い形で勝てていなかったので、このカードはしっかり取りたいと思っていた。まさか3つ勝てるとは思っていなかったですけど、粘れて良かったです」
帰りのバスに乗り込む直前、鈴木はホッと息をついた。甲子園での試合後は「興奮してなかなか寝付けない」と話していたが、これぞ4番の仕事だ。チームと共に、最高の再スタートを切った。