田中 1日遅れの29歳バースデー初回先頭打者V弾 カープ 前半戦首位ターン決めた
「広島4-2ヤクルト」(4日、マツダスタジアム)
広島・田中広輔内野手(29)が初回に今季2本目の先頭打者本塁打を放ち、1日遅れで自らのバースデーを祝った。五回には追加点を呼ぶ左前打。2安打2得点と1番打者の仕事を全うした。チームは前半戦首位ターンが確定。貯金は最多タイの12となり、2位・阪神とのゲーム差は今季最大の7となった。
1日遅れのバースデー弾が鮮やかな速攻を呼び込んだ。初回だ。1番の田中がブキャナンの初球を強振。逆方向に伸びた打球はきれいな放物線を描いて左翼席へ。5月23日の巨人戦(ひたちなか)以来、今季2本目、通算7本目の先頭打者本塁打がチームを勢いづけた。
「相手もいい投手なので、甘い球を積極的にいこうと思っていました。勢い?そういう気持ちを常に持っているので良かったです」
田中が塁に出れば、得点に結びつく。この日もそうだった。初回は田中の先頭打者本塁打の後、菊池、丸が連打で追加点をゲット。2点リードの五回も先頭・田中の左前打からチャンスを作り、丸、鈴木が適時打で続いた。「大事にしている」と話す初回の出塁は9試合連続。「少しでも長く続くように」とこだわりをにじませた。
前日3日に、29歳の誕生日を迎えた。台風接近のため試合は中止となり「家でゆっくりしました」とつかの間の休息を満喫。愛情たっぷりのバースデーケーキも用意されており「家族が祝ってくれました」とクールな男が思わず照れ笑いした。
この日の試合後もサプライズが待っていた。お立ち台に一緒に並んだジョンソンがバースデーソングを披露。粋な演出に驚きつつ、田中も「最高です!」と笑った。
今季も不動のリードオフマンとして首位を走るチームを引っ張っている。打率・264、4本塁打、27打点、14盗塁。「バッティングは水物」と話すように多少の浮き沈みがあっても、「打てない時は四球を取れている」と役割を見失わない。出塁率・384が1番打者の誇りだ。守備でも運動量の多い遊撃で堅実なプレーを続け、今季もフルイニング出場を継続中だ。
チームは前半戦終了まで7試合を残して、首位ターンが決定。田中は「先は見ず、目の前の1試合1試合」と力を込め、気持ちを新たに誓いを立てた。「これから中堅、ベテランと、チームを引っ張っていかないといけない立場になる」。トップバッター、チームリーダーとして。鯉の新鉄人の言葉は自覚にあふれていた。