執念見せた!松山八回同点犠飛 広島M32変わらずも…緒方監督前進あるのみ
「阪神3-2広島」(16日、京セラドーム大阪)
広島が接戦を落とし、前夜ともした優勝マジックは「32」のまま停滞した。序盤から阪神・メッセンジャーを攻めきれず、七回までに1得点のみ。八回、藤川から松山竜平外野手(32)が同点犠飛を放ったが、リリーフのフランスアが踏ん張れなかった。
カープ自慢の打線がメッセンジャーを攻略しきれない。力強い直球とフォーク、縦割れのカーブをコーナーに決められ、五回までスコアボードにゼロが並んだ。
メッセンジャーとの対戦成績は、試合前まで通算13勝13敗の互角。今季、唯一の対戦は4月12日の甲子園。二回途中まで3点を奪うと、メッセンジャーは審判への暴言で退場。広島はそのまま勝利をもぎ取ったが、昨季は1勝3敗と負け越すなど、決して得意としている相手ではない。
最初の好機は1点を追う三回に訪れた。先頭の会沢が左前打。2死二塁と初めて得点圏に走者を進めたが、田中が三飛。要所を締められ、決定打を欠いた。
試合中、迎打撃コーチはメッセンジャー攻略について「目線を上げられないようにコンパクトにスイングしてほしい」とコメント。五回攻撃前には円陣を組んで狙いを統一したが、打率3割超えの西川、会沢、野間が三者凡退に。広島が誇る“恐怖の下位打線”も右腕に封じ込められた。
前日16日、7度目の挑戦で、優勝へのマジックナンバー「32」をともした。101試合目の点灯は昨季よりも1試合早く、点灯日は昨季の8月8日に次ぐ2番目の早さだ。それでも油断はなし。マジック点灯について緒方監督は「前から言っているように関係ない。昨年の反省を踏まえて143試合、カープの野球をやるだけ」と手綱を締め直していた。
2点ビハインドの六回に、ようやく打線が反撃。1死から田中がメッセンジャーの速球を捉え右前へ。これを右翼糸井が後逸(記録は三塁打)し、好走塁で三塁を陥れた。続く菊池は四球。1死一、三塁と好機を広げると、3番・丸の二ゴロの間に1点を返した。
1点を追う七回も球場が沸いた。2死走者なしから野間が左前打で出塁。左翼・福留がはじくのを見ると俊足を飛ばして二塁に滑り込んだ。ここで代打の切り札・新井が登場。ドームが期待感に包まれる中、フルスイングで応えたが…大飛球は中堅フェンス手前で失速。俊介のランニングキャッチに阻まれた。
それでも簡単にはやられない。1点リードされて迎えた八回に藤川を攻めた。菊池四球、丸左前打、鈴木四球で1死満塁。ここで松山がしぶとく左犠飛、同点に追いついた。
「打ったのはストレート。三塁ランナーがキク(菊池)だったので、外野フライを定位置まで飛ばせば何とかなると思って打席に入りました。気持ちで持っていきました。最低限の仕事が出来て良かったです」
しかし八回裏、無死一塁からフランスアが投前バントを一塁へ悪送球。ピンチを拡大すると、無死満塁から代打・大山に勝ち越しの中前打を打たれてしまった。
広島が阪神に敗れたため優勝マジックは「32」のまま。17日は広島がDeNA戦に勝利、阪神もヤクルト戦で勝利した場合は「31」となり、マジック対象は阪神のまま。阪神がヤクルト戦に敗れれば「30」となり、マジック対象は阪神とヤクルトの2チームとなる。