新井、3ラン含む猛打賞でマジック20 76日ぶり4号&球団歴代最年長3安打
「巨人4-5広島」(29日、東京ドーム)
不屈の魂で球団史を塗り替えた。広島・新井貴浩内野手(41)が、六回の4号3ランを含む今季初の猛打賞。41歳6カ月での1試合3安打は球団史上最年長。不惑のベテランの気迫に導かれ、チームは延長十回の激闘を制して連勝。優勝マジックを20とした。
新井に笑顔が戻った。1-2の六回1死一、二塁。バックスクリーン左へ4号3ランをたたき込んだ。「初回に自分のプレーから失点した。何とか取り返したいと思っていた」。ミスを挽回する一発。ナインとタッチを交わし、ベンチに腰を下ろしても白い歯がこぼれ続けた。
吉川光が投じた低めの直球をすくい上げた。5月23日に対戦したときも左翼場外へ運ぶ特大弾を放った。相性の良さを買われ、7月24日以来のスタメン出場。「準備はしているので。でも、気合が入っていた」。首脳陣の期待に応え、結果を残してみせた。
燃えるものがあった。初回の守備。無死一塁で重信のゴロを捕球ミスした。必死で打球を拾い直し、倒れたまま一塁ベースカバーに入った九里へ送球。だが、これも悪送球となって1人2失策で無死二、三塁とピンチを広げた。「すまん」。この回、2失点の引き金となっていただけに、バットで取り返したい思いがあった。
二回に左前打を放つと、八回1死一塁では右前打で好機を広げた。今季初となる1試合3安打猛打賞。41歳6カ月での記録は石井琢朗が11年にマークした40歳7カ月を更新する球団最年長記録だ。「それは置いておいて、勝てたことがうれしい」。謙そんしながら目尻を下げた。
この試合が45試合目。今季は代打やベンチを温める日々が多い。それでもチームのためにできることは何かを考えている。ベンチでは常に最前列で声を出し、練習ではバティスタにトスを上げる日もあった。飾らない人柄と、誰にも負けない経験や培ってきた技術を若手に伝える姿勢は、新井だからこそできるものだ。
4-4の延長十回。2死満塁とすると、田中が押し出し四球を選び勝ち越しに成功した。後輩たちの執念に「本当に頼もしい」と再び笑顔をみせた。
優勝マジックは1つ減って「20」になった。「元気に3安打。まだまだ体は動くし、バットも振れている。これからの勝負どころで頑張ってもらう」と緒方監督。着実にリーグ3連覇へ突き進むチームの中でベテランの存在は欠かせない。