不振乗り越えた!広輔「最高ですね」菊池「これで終わりじゃない」
「広島10-0ヤクルト」(26日、マツダスタジアム)
歓喜の瞬間、肩の力を抜き、2人で右手を交わした。チームをけん引する存在として昨年に続いて歩を進めたシーズン。万感の思いをナインとともに分かち合った。「最高ですね」と安どした広島・田中広輔内野手(29)と、菊池涼介内野手(28)のコンビは健在だった。
強固な守備でセンターラインを支え、幾度となくチームを救った。だが、決して順風満帆な道のりでなかった。田中は打撃不振で8月18日のDeNA戦から不動だった1番を外れ、菊池も1日のみではあるが、8月4日のDeNA戦で約2年ぶりに2番を外れた。
田中は玉木内野守備走塁コーチから「打順が変わっても気持ちは腐らないように」などと声を掛けられ、守備の安定感は失わず。堅忍の末に打撃状態を上げ、21日・阪神戦から1番に復帰した。「1番に戻れるように」との言葉を形にし、悲願の瞬間は“定位置”にタナキクが並んだ。
主力として戦う中、菊池は後輩への細やかな気配りも忘れなかった。8月21日のヤクルト戦。1点リードの九回2死から上本が同点の一端となる痛恨の失策を犯し、結果的にチームは敗戦。試合後、落胆していた後輩を「切り替えろよ」と激励。ロッカールームに戻るまで寄り添い、心中をおもんぱかった。
球団史上初の偉業。喜びに浸りつつ、菊池が「これで終わりじゃない」と話したように、狙うは日本一の頂だ。タナキクコンビがチームの中心に君臨し、まだまだ駆け抜けていく。