骨折から強い意志で目指した「最強の誠也」 トレーナーが語る鈴木のリハビリ

 「広島10-0ヤクルト」(26日、マツダスタジアム)

 広島が球団史上初となる3年連続9度目のリーグ優勝。待ちに待った27年ぶりの地元での胴上げが、ついに実現した。昨年8月に鈴木誠也外野手が右くるぶしを骨折した際、リハビリをメインで担当した苫米地鉄人3軍トレーナー(37)は「根っからの野球好きなのを特に感じて、自分でやることを見つけて次に向かって進んでいた。本当に本人の努力」と振り返る。たゆまぬ自己研さんが完全復活を生み出した。

 復帰へ本格始動した昨年9月。心を切り替えた姿に「治そうという強い意志、うまくなりたい意志しか見えなかった」と語る。前日にできたことができない日もあった。患部は内側の足首でも外側に痛みが残り、股関節などからも回復をアプローチする試行錯誤を重ねた。治療法も自ら追求。進歩に波はあったが、弱音を聞いたことは一度もなかったという。

 「常に彼の横には野球がある」と話すように、リハビリ中も傍らにはバットがあったという。ヤンキースのジャッジら、メジャーリーガーの動画も見て研究。「ヒントを得て試していた。『50本目指して』などと言ってましたね」。ひたすら追い込み、根を伸ばしていった。

 周囲へ感謝する姿には成長も感じた。「偉そうに言えないけど、周りが見えるようになってるのかな。出会った人に感謝することを今からやっていければ、辞めてからもいい人生が待ってるんじゃないかな」。苫米地トレーナーに肩を借り、歓喜の輪に加わった昨年から1年。心身の進化が大輪の花を咲かせた。

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