大瀬良が力投 5回2失点 日本S初戦は死闘引き分け 中4日で第5戦先発決定的
「日本シリーズ・第1戦、広島2-2ソフトバンク」(27日、マツダスタジアム)
34年ぶりの日本一を目指す広島が、パ・リーグ2位から勝ち上がり日本シリーズ2連覇を狙うソフトバンクと引き分けた。一回、菊池涼介内野手(28)の左中間ソロと松山竜平外野手(33)の右前適時打で2点を先取した。五回に追いつかれ、試合は2-2のまま延長戦に突入。決着はつかず、1986年以来、32年ぶりの第1戦ドローとなった。
マウンドに立っている限り、集中力は切らさなかった。託された日本シリーズ先陣。本拠地の大歓声を背に挑んだ強力打線との真っ向勝負で、先発の大瀬良が5回3安打2失点。三回までパーフェクト、四回まで無安打の快投。同点にこそされたが、リードを許さない投球に最多勝右腕のプライドがにじむ。
何かを自分に言い聞かせるよう何度もマウンドでうなずいた。2点リードの五回。先頭・中村晃にこの日初安打となる右前打を浴びると、続く内川に中前打。2死二、三塁までこぎつけたが代打・デスパイネの二塁への適時内野安打などで同点に。なおも2死二塁で、最後は上林を空振り三振に斬った。
独特の空気がテンションを上げていく。「(CSと)違った雰囲気だった」。序盤こそ制球が高めに浮いたが、直球とカットボールを有効的に使いかわした。「いろんなボールで抑えることができたし、変化球で的を絞らせなかったのかなと」。レギュラーシーズン同様のスタイルで敵を凌駕(りょうが)した。
CSファイナルSに続く大舞台での第1戦マウンドで、毎回の7奪三振。「いいバッターがそろっているので、球数を使ってもコースを間違えないように」。四回2死からグラシアルに四球を与え、この日初めて走者を出したが、続く柳田を内角低めの直球で見逃し三振。敵の4番に反応すらさせなかった。
悲壮感はない。むしろ、発する前向きな言葉に自信をうかがわせる。チームは延長十二回の末、ドロー。これで中4日での第5戦先発が決定的となった。「行けと言われたら行くつもり。しっかり準備して」。見据える視線の先には34年ぶりとなる日本一の頂。その右腕で鯉を悲願へ導いていく。