誠也、屈辱最後の打者…シリーズ打率4割超で敢闘賞「迷いなくスイングできた」
「日本シリーズ・第6戦、広島0-2ソフトバンク」(3日、マツダスタジアム)
最後の打者となった経験は必ず生かさなければならない。背水の鯉を必死に呼び覚まそうとした。それでも、ついえた日本一の夢。ただ、胸中を支配するのは充実感。「このシリーズ、僕は楽しかった」。終戦を振り返る広島・鈴木の言葉はすがすがしかった。
眼前の光景を潔く受け止めた。2点ビハインドで迎えた九回2死。敵の4番手・森がカウント2-2から投じてきた内角直球に反応した打球は三ゴロに。瞬く間に広がる鷹の胴上げ。「悔しさというより達成感。力を出して負けたので仕方ない」。悲願成就とはならなかった。ただ力は出し切ったと自負する。
主軸として確かな成長を示した。今シリーズは打率・455、3本塁打、6打点で敢闘賞。「迷いなくスイングできた」。4番としてチームを日本一へ導けなかった。それでも打席までの心構えなどでレベルアップを実感できた。
唯一の心残りがある。それは、今季限りで引退する新井と最後の試合になったこと。「その部分では悔しさもあります」。先輩と最後のプレーになってしまったことには後悔の念を抱く。
マツダでの大一番で培った経験をつないでいく。ここから始まる来年への逆襲劇。鯉の4番を張る男が次なる戦いへ照準を定める。