FA丸、残って!鯉党一丸願いよ届け「素直にうれしい」 24日にも巨人と交渉
広島から国内フリーエージェント(FA)権を行使した丸佳浩外野手(29)が23日、マツダスタジアムで行われたファン感謝デーに参加した。イベントには出場しなかったが、表彰式でグラウンドに姿を見せると、ファンから残留を熱望する声が上がった。前日22日にはロッテと交渉しており、獲得を目指している巨人とは早ければ24日にも交渉のテーブルに着くとみられる。
マツダスタジアムに詰めかけた延べ3万2000人が最も沸いたのは、丸が登場した瞬間だった。イベント途中に行われた表彰式。「三井ゴールデン・グラブ賞」と、「最高出塁率」のタイトルをたたえるため、その名前がアナウンスされた。誰もが背番号「9」を待ちわびていた。
グラウンドに一歩、足を踏み入れると残留を熱望する声が上がった。「残って」と言うカープ女子がいれば「待ってる」と願いを込めた鯉党がいた。「丸ちゃん行かないで」「日本一には貴方が必要」。自作のプラカードを手にしていたファンの姿もあった。
「素直にうれしいです。ご迷惑や心配をファンのみなさまに現状は、かけてしまっているので、結果はどうであれ、しっかりとした決断を1日でも早くファンのみなさんにも報告できたらなと思います」。表彰式が終わると再び同様の声が球場を包む。スタンドに視線を向けながら、丸は手を振って応えた。
前日22日、都内に出向き争奪戦への参戦を表明していたロッテと電撃交渉した。ロッテ側は山室球団社長、井口監督らが出席し“地元愛”などを訴えられたという。「一緒に千葉を盛り上げていこうという話をもらいました」。井口監督からは「若い選手が多い中で、チームの軸となって引っ張っていってほしいという言葉を頂きました」。約40分の交渉。熱意を感じ取った。
15日の交渉解禁後に広島と再交渉。そしてロッテとの席にも着いた。獲得意思を表明している巨人とは「(場所などは)調整中」としながら、早ければ24日にも交渉の可能性がある。広島、ロッテとは再交渉しないのが基本方針で、全交渉後に熟考して結論を下す構えだ。
「残留したいという思いもありますし、ただ僕一人で決めることではないので…。自分が他球団の声を聞いてみたいという思いを持って(FA権を)行使した。悩むことがあるのは正直なところなんですけど、逃げることなくしっかりと考えていきたい。悔いのない決断をしたい」
野球人生の岐路に立つ球界屈指のバットマンは、こう言って前を向いた。