土生、1安打の思い出胸にデータ積み重ねる 7年目戦力外スコアラー転身

 【第2の人生へプレーボール】 

 高い志を持ってプロの門をたたいたが、厚い壁に阻まれた。7年目のオフに待っていたのは屈辱の戦力外通告。地元・広陵出身の広島・土生翔平外野手(29)が、来季から球団スコアラーに転身して第2の人生のスタートを切る。現役時代に放った安打はわずか1本だったが、思い出は尽きない。

  ◇  ◇

 データ入力や資料の整理、来春キャンプの日程調整…。スコアラーとして第2の人生を歩むことを決めた土生は、慣れない作業に悪戦苦闘している。それでも在籍したカープで、大好きな野球に携わることができることに大きな喜びを感じていた。

 「さまざまな人の支えがあり、7年間もプレーをさせてもらった。スコアラーの話を頂いたので、これからは球団に恩返しをしたい」。地元企業への就職も選択肢の一つだったが、母校の広陵・中井監督らに相談して決心した。

 広陵、早大を経て11年度ドラフト4位で入団。広陵時代からの同級生・野村とカープを日本一に導くことが目標だった。だが、プロの高い壁に当たる。初出場は入団5年目。「最後の1年」と覚悟を決めて臨んだ今季は、春季キャンプからケガに泣いた。

 最も思い出に残っているのは「6番・右翼」で初先発した16年6月3日のソフトバンク戦(マツダ)。「初スタメンだったから、キク(菊池)とかみんなが、僕の緊張をほぐそうと声をかけてくれた」。田中、菊池、丸らは同学年。チームメートの後押しを受け、七回に放ったプロ初安打だ。

 試合後は、食事を共にした菊池が初安打を記念してケーキを用意してくれていた。「おめでとう、って。気に掛けてもらっていたんだと思ってうれしかった」。通算10試合で1安打。それでもかけがえのない1本だった。

 来季からはスコアラーとして、DeNAを担当する。来年2月の春季キャンプは宜野湾に通い詰める。リーグ3連覇した今季の対戦成績は13勝11敗1分け。来季はさらに勝ち星を積み重ねるため、選手個々のデータを集め、分析していく。

 「自分はすごく良い環境で野球をやらせてもらった。今度は僕がスコアラーとして、選手の役に立つ仕事をしたい」。新たな旅立ちに気持ちを引き締めた。

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