広島に加入した長野への期待は大きい。昨季限りで新井が現役引退し、丸が巨人へＦＡ移籍。リーグ４連覇を目指すチームにショッキングなニュースが続いたが、長野の獲得で広島のムードは一変した。これまで首脳陣が発したコメントを振り返ると、今季長野に期待される役割が、浮かび上がってくる。

　今月７日に獲得を発表した際、松田オーナーは誠実な人柄を示すエピソードを明かし、「プレーでも何度も痛い目に遭ってきた。個人的には３番を打てると思っている」と実力も高く評価した。鈴木球団本部長は「新井が競争の中で輝きを放ったように、彼にもそうなってほしい」と古巣復帰後にリーグＭＶＰを獲得した新井のような活躍を期待した。

　長野と同郷・佐賀県出身の緒方監督はプロで培った経験を評価。「年齢的に経験がある選手が抜けた。何より経験をしていて年齢的にも一番いい。若手に対してものを言える。野球への取り組みはいいイメージしかない」とコメントした。

　２人の打撃コーチは打撃技術の高さに舌を巻いた。東出打撃コーチが「プロに入ってきた時から『コイツは違う』と思っていた。天性のヘッドの使い方できる。やると思う。勝負強い」とべた褒めすると、迎打撃コーチは「映像を見て情報を頭にたたき込みたい。戦力になってくれることは間違いない」と全面サポートを約束した。

　関係者の話を総合すると、守備位置は左翼が濃厚、打順は３番、もしくは６番を任されそうだ。スタメンを外れた試合では右の代打の切り札の筆頭候補。

　長野にはプロ１年目に新人王表彰を受け、首位打者、最多安打を獲得した実績がある。リーグ優勝、日本一の味も知る。プラスの効果は計り知れない。ポスト丸、ポスト新井として、悲願の日本一を目指すチームに頼もしい新戦力が加わった。