坂倉“ポスト丸”強烈アピール 本職捕手も「3番・左翼」抜てきで先制呼ん打
「練習試合、広島5-9日本ハム」(23日、コザしんきんスタジアム)
広島・坂倉将吾捕手(20)が23日、今キャンプ最大の注目である“ポスト・丸”に名乗りを上げた。5-9で敗れた日本ハムとの練習試合(コザ)に「3番・左翼」でスタメン出場。四回無死二塁から右前打で好機を広げ、4番鈴木の先制打を呼び込んだ。外野守備でも好プレーを披露し、長野、野間、西川らとの外野定位置争いは白熱。キャンプ終盤を迎え、成長著しい20歳が“主役”に躍り出てきそうな気配だ。
背番号61の大抜てきに、コザのスタンドがどよめいた。捕手が本職の坂倉が今キャンプ初めて「3番・左翼」で先発出場。打線の核として、鮮やかな先制劇を呼び込み、首脳陣の期待に応えた。
「1本なので。もったいなかった打席もあった。まだまだです。(3番は)与えられたところでアピールするしかないので。特別気にしてなかったです」
試合後も厳しい表情は崩さなかったが、昨秋から挑戦中の外野でフル出場。見せ場は四回だ。先頭・菊池涼が中前打、代走・曽根が二盗を決めると、坂倉が打席へ。「引っ張れる球を待っていた」とカウント1-1からの141キロを強振。打球は一、二塁間を破り、鈴木の先制打につなげた。「いい形で入っていけたし、強く振れたのはいいこと」。坂倉の一打が起点となり、西川の左犠飛、メヒアの2ランが生まれた。
左翼の守備でも上達した姿を見せ、四回1死から近藤が放った左翼線への打球を単打でストップ。懸命なプレーに広瀬外野守備走塁コーチも「普通に守れている。及第点。あとは経験と場数を踏んでほしい」とニンマリだ。
20歳のダークホースが“ポスト・丸レース”を一気にまくりそうな勢いだ。東出打撃コーチは「打つ、打たないは別にして、(打席の)入り方、見逃し方がいい。やろうとしている意図が見える」と評価した。3番打者の条件は「弱点がない人」と言い、課題の速球を克服しつつあり、左投手を苦にしない坂倉はピタリと当てはまる存在だ。
同じ3番候補で外野の定位置を争う西川も、「5番・一塁」で出場し、仕事を果たした。四回に左犠飛で追加点を奪うと、六回1死二塁の好機では左翼線適時打。ただ2打点の結果にも「第1打席の二ゴロがダメ。自分のタイミングで振れなかった。一発で仕留めないと」と不満顔だ。
試合後は打撃マシンを奪い合うように室内練習場に乾いた打撃音を響かせた2人。西川らと汗を流した坂倉は「試合に出たい。今はそれしか考えていない。アピールするだけです。キャッチャーとしても出られるように」と力を込めた。キャンプ終盤。丸の後釜を巡る争いが、ヒートアップしてきた。