ドラ1小園、開幕1軍へ大前進 高卒新人13年ぶりOP戦2号

 9回、2ランを放ち笑顔でダイヤモンドを回る小園(撮影・金田祐二)
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 「オープン戦、ヤクルト7-7広島」(21日、神宮球場)

 広島のドラフト1位・小園海斗内野手(18)=報徳学園=が、オープン戦で初めて「1番・遊撃」でスタメン起用され、4点を追う九回に2号2ランを放った。高卒新人のオープン戦2本塁打は、06年の西武・炭谷(現巨人)以来13年ぶりとなる快挙。初の1試合フルイニング出場も経験し、黄金新人が開幕1軍へ大きく前進した。チームも小園の一発を皮切りに堂林、バティスタの3連発で引き分けに持ちこんだ。

 神宮の主役は小園だった。九回裏、遊撃の定位置につくと真っ赤に染まった左翼、そして三塁側の鯉党からわき起こった拍手に帽子を取って応える。「うれしい。その前の打席が悔しかったので最後に打ってやろうと思っていた」。オープン戦初の「1番・遊撃」でスタメン出場した試合を、同点劇のきっかけとなる2号2ランで飾った。

 3-7の九回1死一塁から守護神・石山の内角直球を振り抜いた。「追い込まれていたのでフォークを意識しながら体の回転でうまく打てた」。美しい弧を描いた白球は右翼席へ。高卒新人では06年・炭谷以来、13年ぶりのオープン戦2本塁打を記録した瞬間だ。

 成長した姿を見せたい人がいた。山田哲だ。同じ宝塚市出身で少年野球チームも同じ「宝塚リトル」。10年夏の甲子園では「その試合を見に行ったんです」と履正社-聖光学院戦を観戦。聖地で本塁打を打った先輩に心を奪われ、その背中を追うと決めた。大会後、山田哲がリトルを訪れた時には記念写真に納った。

 日南キャンプの宿舎には何の連絡もなく山田哲からマットレスが届けられた。プロとなり初めて再会した19日の試合前には、感謝の言葉を伝えたという。この日は、九回の守備中に二塁へ進んだ山田哲から「ナイスバッティング」と声をかけられた。シンプルな言葉がうれしかった。

 守備では八回1死一、二塁から併殺を完成させるなど試合を通じて安定感が光った。課題とされていた打撃でもアピールに成功。東出打撃コーチは「真っすぐが強いという特徴を持っている。初球の入り方とかレベルの高い悩みが出てきた」と目尻を下げた。

 緒方監督は黄金新人の開幕1軍について「頑張っている選手の1人ということは間違いない」とだけ話した。それでも球団では2000年の苫米地以来となる高卒新人の快挙は、もう目の前だ。

 「チャンスは少ないけど次に生かしたい」。小園は気持ちを引き締め、クラブハウスへ歩いた。周囲の予想をはるかに上回るスピードで成長を続ける無限の可能性を秘めたルーキーが、球団史を塗り替えるかもしれない。

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