誠也、今季1号!右足不安一掃も黒星に「得点圏の打席で打ちたかった」と4番のセリフ

 「広島2-5巨人」(30日、マツダスタジアム)

 広島・鈴木誠也外野手(24)が今季1号本塁打を放った。2点を追う四回、巨人の先発ヤングマンのカーブを捉えた。八回には二塁内野安打をもぎとり、今季初のマルチ安打をマーク。さらに一塁悪送球の間に二塁を陥れ、昨年11月にボルトを抜いた右足の不安を一掃した。チームは今季初黒星を喫したが、若き4番の躍動は何より明るい材料だ。

 静まり返っていたスタンドが鈴木の一発に沸き返った。2点ビハインドの四回1死からヤングマンのカーブに反応した。追い込まれながら振り抜いた打球は左翼後方のコンコースへ。開幕から通算6打席目にして、待望の今季1号が飛び出した。

 「その前の得点圏の打席で打ちたかった。甘い球を仕留められなかった。今日の本塁打は自分の中で評価できるものではないです」

 完ぺきな一撃も試合後、鈴木の表情はさえなかった。悔やんだのは初回の1打席目だ。ヤングマンの立ち上がりを攻め、四球と失策で1死一、三塁となったところで打席を迎えた。絶好の先制機だったが、外角に沈むカーブにバットが空を切った。後続も倒れて無得点に終わっただけに、「もう少しあそこで何かしら転がすことができた。三振はいただけないです」と唇をかみ、4番の責任を背負い込んだ。

 鈴木は最後まで厳しい表情を崩さなかったが、今後へ明るい材料もあった。2点を追う八回は2死から痛烈な二塁内野安打。さらに一塁送球がそれると、瞬時の判断と全力疾走で二塁を陥れ、チャンスメークした。鈴木は「(一塁ベースを)踏む前にボールが通過していた」と控えめに振り返ったが、右足首の状態は上々のようだ。

 右くるぶし骨折からの復帰を目指した昨季は開幕3戦目に下半身の張りを訴え、スタメンを外れた。5戦目には出場選手登録を抹消され、約2週間の2軍生活を余儀なくされた。昨年11月には右足首を固定していたボルトを抜き、その後の経過は良好だ。開幕前日には「今のところ不安はない」と話し、「ケアもやっている。やってしまうときは仕方ないと思うのでそうならないようにやっていきたい」と覚悟を明かしていた。

 チームは公式戦初対戦したヤングマンの前に今季初黒星。緒方監督が「難しさはある。独特のカーブがあって、緩急もつくし、真っすぐも滑る」と言ったように今後も難敵となりそうだ。これで巨人との開幕カードは1勝1敗。開幕ダッシュへ4番のバットで勝ち越しを決めたい。

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