カープ・大瀬良 痛恨1球 6連勝中の虎キラーが…まさかの逆転“悲”弾で今季初黒星
「広島2-3阪神」(5日、マツダスタジアム)
広島が逆転負け。昨年9月以来となるマツダスタジアム3連敗となり、2日以来の単独最下位に沈んだ。エースが1球に泣いた。大瀬良大地投手(27)が2-1の七回2死一塁で、代打・中谷に左翼ポール直撃の逆転2ランを浴びた。六回まで粘り強く投げていたが、129球目が甘く高めに浮き、自身の阪神戦連勝は6で止まった。
左翼方向へ上がった打球を、大瀬良は振り返って目で追った。フェアかファウルか…。勝敗を分けた1球は、黄色い左翼ポールに当たってフェアゾーンの緑の芝生ではずんだ。代打・中谷に浴びた逆転の2ラン。失投だった。
「あの1球が抜けて甘く入ってしまったことが反省。あそこで、もう一踏ん張りしたかった」。敗戦後のベンチ裏。7回7安打3失点にも、右腕は唇をかみしめながら、129球目を振り返った。
2-1の七回2死一塁だった。2ボール2ストライクからの7球目が分岐点になった。直球で押したが、指先が狂い高めへ。それを狙い打たれた。
六回を投げ終え、球数は105球を数えていた。勝利の方程式への継投も選択肢にあったが、ベンチは大瀬良の続投を選択した。「疲れているという感じはなかった。意気に感じたし、抑えようと思ったんだけど…」。首脳陣の期待に、この日は応えることができなかった。
決して状態が良かったわけではない。直球はばらつき、カットボールもストライクゾーンから大きく外れることがあった。それでも初回を1失点で切り抜けると、根気強く右腕を振る。四回1死満塁では、梅野を二ゴロ併殺打に仕留め、ピンチをしのいだ。緒方監督は「大地は粘り強く投げてくれた。悔しい1球になってしまったと思う」と、背番号「14」をおもんぱかった。
3月29日の巨人戦では自身初の開幕投手を務め、菅野に投げ勝った。カードの初戦である金曜日を任されるということは、エース級投手との投げ合いが増える。「こういう試合展開だったので、防がないといけなかった」。僅少差の試合を勝ちきることが、真のエースになるステップとなる。
佐々岡投手コーチは七回の続投について「代える理由はなかった。1年間、エースとしてチームを引っ張ってほしい気持ちがある」と力を込めた。わずか1球が直結した今季初黒星。大瀬良が悔しさを新たな力に変えて、前へ進む。