アドゥワ初完投星 母の日に先発初勝利「テレビの前のお母さん、オレやったよ!」
「広島8-1DeNA」(12日、マツダスタジアム)
冷静に腕を振り続けた。広島・アドゥワ誠投手(20)が先発転向後初勝利をプロ初完投で飾った。高卒3年目での完投勝利は球団では09年の前田健太(現ドジャース)以来。お立ち台では鈴木、磯村に続いて「テレビの前のお母さん、オレやったよ!」と恥ずかしそうに声を張り上げ、右拳を突き上げた。
微妙に動く直球や変化球を低めに集め、ゴロの山を築いた。ハイライトは「初回に先制点を与えなかったところ」と話すように、2死三塁のピンチで筒香を直球で二ゴロに。8安打されたものの、失点は五回に伊藤に浴びたソロのみ。無四球で九回を投げきった。
打撃でも光った。3-0の二回1死三塁で右前適時打を放ちプロ初打点。「一番いい結果になった」。躍動した右腕に、緒方監督も「きょうはアドゥワでしょう。イニングの入りが課題だったけど、低めに修正できていた」と称賛した。
「母の日」での快投。この日は登場曲も「広島天国」から母へ向けた曲である、かりゆし58の「アンマー」に変え、故郷の熊本に住む母・純子さんへ感謝の思いを込めた。「小さい頃から迷惑を掛けてきたが、やっと恩返しができた。(母から)『勉強をやれ』と言われなかったので感謝してます」。ウイニングボールは最高のプレゼントになった。
先発4戦目で完投をやってのけ、頼もしさは増すばかり。「チームが勝つことが一番です」。弱冠20歳の右腕がこれからも先発ローテの一角を支える。