中村奨成 頭部死球で緊急搬送 復帰初戦のウエスタン・阪神戦でアクシデント
「ウエスタン、阪神3-4広島」(18日、鳴尾浜球場)
広島の中村奨成捕手(20)が18日、ウエスタン・阪神戦(鳴尾浜)で頭部死球を受けて負傷交代した。八回2死一、二塁で阪神・斎藤の145キロ直球が左側頭部を直撃。試合中に救急車で病院へ搬送された。右第一肋骨(ろっこつ)疲労骨折からの実戦復帰初戦で、思わぬアクシデントに襲われた。
球場の空気が凍り付いた。八回2死一、二塁。打席に立った中村奨の頭部を目がけて145キロの直球が向かってきた。身をかがめて回避体勢を取ったものの間に合わない。白球は左側頭部を直撃すると一塁側に転がった。
患部を押さえ、その場に倒れ込んだ。直後に起き上がろうとしたものの、捕手の小宮山に制止された。一塁側ベンチからトレーナーらが駆けつける。首から頭部にかけて器具で固定され、担架で運び出された。室内で処置後、自ら歩いて救急車に乗り込み、病院へと搬送された。
「8番・捕手」で今季初めてスタメン出場。3打数無安打だったが、守備ではメナを好リード。7回1安打無失点に導いた。水本2軍監督は「残念だけど仕方がない。動きも良かったし残念でかわいそうだけど、わざとではないから。早く復帰できるように頑張ってほしい」と話した。
故障を乗り越えグラウンドに戻ってきた一戦だった。今春キャンプ初日。大野練習場での打撃練習中に右第一肋骨を疲労骨折した。リハビリ過程で前を向けない時期があったが、広陵・中井監督らの励ましの言葉に支えられ、山口、遠藤ら同期入団選手の活躍に刺激を受けた。「ケガをしていたから、こういうプレーしかできないとは思われたくない」と地道に汗を流してきた。
課題と言われていた体重は、食事の改善や地道な筋力トレなどで6キロ増えて82キロになった。5月下旬。医師からようやく復帰のゴーサインが出て実戦復帰までたどり着いた。
水本2軍監督は試合後、「脳しんとうの復帰プログラムに従って、ということになると思う」と話した。今後はNPBが定めた過程を経て復帰しなければならない。全5段階で、今季は4月に頭部死球で出場選手登録を抹消された松山がそれをこなした。
プロ2年目は山あり谷ありの厳しい道が続く。それでも中村奨は困難を乗り越えていくしかない。