九里 プロ初完封 熱投107球で連敗止めた 苦しかった交流戦…最後は意地
「交流戦、楽天0-2広島」(25日、楽天生命パーク宮城)
広島・九里亜蓮投手(27)がプロ初完封勝利を無四球で飾った。楽天打線を相手に9回を投げ、被安打3。先発復帰した交流戦は3戦2勝、防御率1・42の安定感を誇った。チームの連敗を3で止め、交流戦ラストゲームを白星で締めた。首位・巨人に1ゲーム差に接近し、28日・DeNA戦(横浜)からのリーグ戦再開に備える。
球場名物の観覧車とメリーゴーラウンドをバックに九里の笑顔がはじけた。プロ初完封の味は格別だ。会沢と抱き合い、感情を爆発させた。マウンドで記念のボールを受け取ろうと待ち構えたが…最後の打者の左飛を捕球した西川がそのままスタンドへ。まさかのオチにずっこけたが、試合後のヒーローインタビューでは次回の完封を高らかに宣言だ。
「野手の皆さんがしっかり守ってくれたおかげです。龍馬(西川)が初完封のボールをスタンドに投げ入れてしまったので、もう一回このようなピッチングをして、次はボールを受け取りたいと思います!」
この先、何度も完封を期待できそうな投球だった。最速148キロの直球は走り、シュート、カーブなど多彩な球種をストライクゾーン低めにちりばめた。初めて先頭の出塁を許した八回はウィーラーを内角攻めで三ゴロ。2-0の九回も無死一塁から1番・茂木を投ゴロ併殺に仕留め、圧巻の完封劇につなげた。
鯉の鉄腕はどこまでもタフだ。97球を投じた前回18日・ロッテ戦の翌日、九里はこう豪語した。「今日も200球は無理ですけど、150球ぐらいなら投げられますよ。体を動かせば投げられる。投げるのが好きなので」。昨今は球数問題がクローズアップされるが、右腕はケロリ。平成生まれながら、新元号令和の時代を迎えても昭和の香りを漂わせる。
他競技のアスリートから刺激も受けていた。日本人初のNBAドラフト1巡目指名された八村塁のニュースに「すごいですね!(1位の)10人に入ったわけですから」と祝福。幼少時代を米フロリダで過ごし、野球はもちろん四大スポーツに触れてきた。バスケットボールもプレー経験があるだけに、今回の快挙には人一倍心を躍らせた。
九里の散発3安打、107球の熱投でチームの連敗は3でストップ。緒方監督は「今日は九里に尽きる。本当にナイスピッチングだった。気持ちの上でもしっかりボールをコントロールしていた」とべた褒めした。交流戦は5年ぶり最下位に沈んだが、最後にハッピーエンドが待っていた。リーグ戦再開へ、頼もしい救世主の誕生だ。