誠也 サヨナラ打で巨人3連倒で単独3位!緒方監督「さすがカープの4番打者」
「広島2-1巨人」(21日、マツダスタジアム)
広島が今季7度目のサヨナラ勝ち。首位巨人を相手に3連勝を決めた。鈴木誠也外野手(24)が今季2度目、通算6度目のサヨナラ打。1-1の延長十回1死満塁からマシソンの直球を右前へ運んだ。延長戦は5月31日・阪神戦の白星を最後に2分けを挟んで4連敗中だったが、4番が終止符を打って単独3位に浮上した。
鈴木の執念がバットに乗り移った。こん身の力で振り抜いた打球は雨で濡れた右前の芝生で弾んだ。若き4番が今季2度目のサヨナラ打だ。首位巨人との3連戦3連勝を決め、本拠地は大熱狂。奇跡の逆転Vへ望みをつなぎ、ヒーローは笑顔で歓喜のウオーターシャワーへ身を委ねた。
「外野が下がっていたので何とか落ちてくれと思っていました。なかなか打てない日が続いて悔しかったんですけどジャイアンツ相手にこういうゲームができて良かったです」
仲間のお膳立てに、4番が応えた。1-1の延長十回、4番手・マシソンから先頭田中広が四球、続く西川は初球バントをきっちり成功。2番菊池涼が中前打でつなぐと前打者バティスタは申告敬遠された。4番勝負も鈴木は冷静だった。「コノヤローとかはなかった。自分のやるべきことをやろうと思っていた」。カウント1-1から149キロに反応し右前へ。「ギャン詰まりでしたね。でも良かったです」と笑った。
チームは崖っぷちに立たされていた。この3連戦は1つでも落とすと、自力優勝の可能性が消滅。初戦の試合前、鈴木は穏やかな顔で「チームが勝つために、やるべきことをやっていくしかない」と言った。その時点で首位巨人と12ゲーム差。今季は5月快進撃から一転、6月から11連敗を喫するなど、まさかのシーズンを送っているがモチベーションは維持。4番は目の前の一戦に集中していた。
「さすが、カープの4番打者というところだよね。全員が勝利につながる一打。みんなが信じていたと思うし期待に応える誠也はすごい、大したものだ」
試合後、緒方監督も手放しでたたえた。今季はなかなか打線を固定できないが、4番だけは不動だ。「今年はああいうところでも強引になっていない。得点圏(打率)が上がってなくても、そういう部分は感じる」と全幅の信頼を寄せている。
チームは自力優勝消滅危機を脱して、単独3位に浮上した。「一戦一戦が勝負。とにかく勝つしかない。そのために選手は一生懸命やっていくしかない」と鈴木。ミラクルVへ、王者が底力を示し、息を吹き返した。