堂林、サヨナラ打!「忘れていたこと思い出した」 奇跡へ原巨人、連倒じゃ!
「広島3-2中日」(12日、マツダスタジアム)
プリンスが決めた!広島は2-2で迎えた九回、1死一、二塁から堂林翔太内野手(28)が左越えに決勝打を放った。自身5年ぶり3本目のサヨナラ打で2位・DeNAとゲーム差なしに詰めた。きょう13日からは敵地に乗り込み、首位・巨人との2連戦。3カード連続勝ち越しで波に乗る鯉が最後の意地を見せる。
思いを込めた打球が、左翼手・福田のグラブの先を抜けた。二走・鈴木が、歓喜の声を上げながら本塁を駆け抜ける。二塁手前で振り返った堂林は、両手を広げてベンチから飛び出してきたチームメートと抱き合った。今季11度目、03年の球団記録に並ぶサヨナラ勝利だ。
「最高です。感触は良かったけど、もしかしたら捕られるかなと思った。抜けてくれて本当に良かったです」。3万人超が視線を送った本拠地でのお立ち台。まぶしい光と拍手喝采を浴びながら、興奮を言葉に変えた。
2-2の九回1死二塁。4番・長野が申告敬遠され1死一、二塁で打席が巡ってきた。「あれで火が付いた。集中していた」。藤嶋の高めに抜けたフォークを見逃さなかった。
14年4月2日のヤクルト戦で右翼席へサヨナラ弾を放って以来、自身にとっては5年ぶり3度目の殊勲打。緒方監督は「よく打ってくれた。この声援に応えてくれて、こっちもうれしいよ。本人にとっても、この一本は大きい」と目尻を下げた。
「なかなかうまくいかないことが多かった。つらかったけど、こういうことがあると思って頑張ってきた」。シーズン序盤には、故障で戦列を離れたこともある。2軍生活が続く中でも気持ちは切らさなかった。「やれることを変えずにやろうと思った」と黙々とバット振ることだけに集中した。
6日に再昇格した。前日11日には絵理奈夫人が公式ブログで第3子となる女児を出産したことを発表。自身が赤ちゃんを抱っこしている姿の写真もアップされた。「タイミングがタイミング。良い報告ができると思います」。一瞬だけパパの表情を浮かべた。
これまで守備固めや代走などで貢献してきたが、この日はバットで最高の結果をもたらした。「忘れていたことを思い出したような感じ。1軍が久しぶりで、この輪に入れたことをうれしく思う。一つでもチームの力になりたい」。2位・DeNAとはゲーム差なし。残り8試合を全力で駆け抜ける。