赤松 若手へのアドバイス明かす「悩みは病気に比べたらちっぽけなもの」【一問一答】
胃がんを克服した広島・赤松真人外野手(37)が22日、マツダスタジアムで引退会見を行った。
一問一答は以下の通り。
-まずは自らの言葉で。
「15年間、すごく長い間でした。これといった成績は残していないですけど、ここまで野球をやれたのは、みなさんの声援のおかげ。感謝しています」
-長かったか短かったか。
「やっぱり、野球をやっているときは、病気になるまでは早かったイメージ。病気になってからは、すごく長く感じた」
-引退は頭にあったか。
「病気になってからですね。引退は覚悟はしていました。決心は、今年に入ってから、どうしても出番というか、起用方法が若手を使わないといけないので。そこで間隔があいたときに自分のパフォーマンスが出せるかというと、そうではなかった。そこですね」
-バロメーターは帰塁だと言っていたことがある。
「反応ですね。ヨーイ、ドンで走ってしまう走塁練習だったり、自分のペースで投げられる遠投であったりは、そこまで落ちたなとは思わなかった。とっさのプレーですよね。野球は相手に合わすスポーツなので。その合わすことが0コンマ遅れると致命傷になる。そこが一番、力が衰えました」
-もどかしさは。
「これはもう、仕方がないこと。病気になったからではなく、年齢がそうさせたのかなと思う。何の言い訳をすることもないです」
-家族に報告は。
「自分では結構、大分前から意識していた。家族には言わなかった」
-意図して遅かったのか。
「言えなかったですね。やっぱり一番、本当に近くで支えてくれたので、言うタイミングが難しかった。もう本当にありがたいですね。あまりこだわりがなかったので。今まで。食であったり。結婚してから特に食生活であったり、病気になってからは特に気をつけてもらった。感謝している」
-引退発表後、2軍では全てのメニューに入って練習していた。
「僕がもし1軍の試合に出ることがあれば、投げている投手がいるし、僕がミスしたら成績に響いてしまう」
-きょうは雨でセレモニーが中止になった。
「僕らしいですね。由宇最終戦も雨で中止だった。今季、マツダで初めての雨で中止と聞いて、伸びたのでみんなと野球をする日にちが伸びてうれしいです」
-スーパーキャッチがあった。
「あれは運だと思う。たぶん今の若い選手ならできる運動能力はある。ああいう打球が飛んでくるかどうかの運。あとは遊びながら。練習中に結構、やっていたのでフェンスにのぼる練習を。それが役に立った」
-キャリア後半はチームプレーに徹した。
「それまでは個人だったんです。レギュラーで打率だったり、盗塁だったり。代走や守備固めになると、よくチームが見えるというか、野球がよく見える。もう少し早くこういう雰囲気で、レギュラーを取ろうとしているときに、そこでこういう心理があったらパフォーマンスが違ったのかなと。代走、守備固めで出るようになって、本当に自分を犠牲にしてチームのために出ていると思った」
-野球観も変わってきた。
「心から勝ち負けを喜べる。それまでは自分が打って負けても、悔しのは悔しいけど個人の成績だった。それが自分が盗塁や守備、ファインプレーを決めてもチームが負けてしまうと、悔しかった。今まではそれが薄かった。そこが変わった」
-25年ぶりの優勝については。
「最高でした。一番、うれしかった。本当に最後、東京ドームでレフトを守っていて、飛んでこないかなと。飛んでくると一生残る。そういうところで名を残したいと思っていた」
-17年の優勝は。
「申し訳ない感じだった。僕は病気だったので。実際、戦っている土俵が違う。みんなは野球で戦って、僕は病気で戦っていた部分がある。申し訳ないなと、ここにいていいのかと」
-あの期間を経て野球への思いは。
「野球への思いもそうですし、生きているだけで、良いんだと。本当にそこがメインだった。野球は二の次じゃないけど、死んでしまったら、元も子もない」
-ふるい立たせてくれたものは何か。
「もちろん家族、チームメート、ファンの人もそう。全て。そういう人がいなければ野球は続けてこられなかった」
-一番うれしかった励ましは。
「闘病中は結構きつい。外にも出たくない。今、後ろにいる菊池がうっとうしいくらい連絡をしてくる。それに対して一番、空元気で対応するんですけど、それが一番励みになりました」
-後輩たちへは。
「僕もすごく結果に左右された側。心理的に。今の若いやつに結構言うのは、オレと同じ病気になったらどうや?っていうんです。みんなそっちの方が大変だとすぐわかる。僕も病気になって気が付いた。今悩んでいることは、ぜいたくな悩みだと思うんです。病気になって初めて気が付かされた。高いレベルで、プロ野球選手は悩んでいると思うんですけど、その悩みは病気に比べたらちっぽけなものだと。今悩んでいることを払しょくしてもらって、チームの勝利に貢献してほしい」
-野球は楽しかった。
「楽しかった。ぜいたくな時間でした。本当なら病気をしてプロの世界でなかなかできない。それを2年半、やらせてもらってぜいたくな楽しい時間だった」
-ファンへ最後に。
「長い間、応援してもらって、ありがとうございました。応援してもらった恩を何かしら返していきたい」