【緒方カープの誤算3】「先発10人」構想もことごとく…
春季キャンプ前日の1月31日、緒方監督が掲げたのが先発10人構想だった。日本一を目標にして戦うシーズンで、先発陣の再整備は不可欠。不測の事態に備える意味でも「6人だけじゃなく、極端にいえば10人、10番目ぐらいまで用意していく」とのプランを語り、実行に移してきた。
大瀬良、ジョンソンの2人を軸に“実質1年目”の床田、九里らが奮闘した一方で、中堅や若鯉は1軍で結果を出し続ける難しさを知った。
序盤から想定外の事態に直面する。4月11日のヤクルト戦で岡田が1回0/3を6四死球6失点で降板し、翌12日に出場選手登録を抹消した。期待していた右腕の不調に「あんなことになるとは」とチーム関係者。その後は長く2軍で再調整することになり、4カード目で早くも開幕ローテの1人を失った。
開幕を2軍で迎えた先発候補には大きなチャンスだった。それでもつかみ取れなかった。山口は5月30日のヤクルト戦でプロ初勝利後、壁に当たった。アドゥワは好調を持続できず、中村祐は今季初先発した5月5日の巨人戦で四回途中交代を命じられた。薮田は試行錯誤し、ローレンスは球威不足で結果を残せなかった。
苦しい台所事情が色濃く出たのが7月9日の中日戦。6月21日のオリックス戦で4回2失点し翌日に抹消した山口を、ローレンス抹消に伴い再昇格させた。課題に取り組む最中での合流に「上げる投手がいなかった」とチーム関係者。右腕以外に2軍から推薦される投手がいなかったことに、チーム事情がうかがえた。山口は1回3失点で降板。試合中に広島への強制送還を命じられた。
勝負手を打つ時期はどうだったか。8月1日の首位・巨人戦に逆転勝利。ゲーム差を「4」まで詰めた。12~14日にはマツダスタジアムでの直接対決が控えており、2日の阪神戦に先発した大瀬良の登板間隔を詰めれば、3戦目の14日の登板が可能だった。だが、時期早々と判断し、ローテの前倒しは見送られた。勝負どころと見ていたのは8月27日からの3連戦。そのときには、差は「6・5」まで広がっていた。