【緒方カープの誤算4】昨季まで打線支えた勝利の方程式確立できず
昨季まで「逆転の広島」を支えたのは強力な救援陣だった。勝利の方程式を軸に粘り強い投球をすることで、打線が試合をひっくり返した。今季は勝ちパターンのメンバーが不調で一貫した方程式を確立できなかった。
守護神の中崎が安定感を欠いた。4月10日のヤクルト戦で、回をまたいだ延長十回に打ち込まれ1回1/35失点(自責点0)。6月上旬には抑えから配置転換された。そして同月20日に出場選手登録を抹消された。
首脳陣は中崎の不調も「簡単に九回を任せられる投手はいない」と、1軍で起用しながらの復調に期待した。だが、4年連続50試合以上に登板してきた蓄積疲労から来るフォームなどの乱れは、短期間で改善されない。前向きな言葉が多い右腕は、ビシエドに2点二塁打を許し、2度目の抹消が決まった8月25日の中日戦後に「自分の球が投げられていない」とこぼしたのが印象的だった。
「(一岡と中崎が)キャンプから状態が上がってこない。沖縄に行っても。周りは大丈夫と言っていたんだが」。一岡はコンディション不良もあり2軍生活が長く続く結果に。初めて1軍を任された佐々岡投手コーチが開幕前に抱いていた不安は的中してしまった。
スタートダッシュに失敗した春先は、中継ぎがフル回転。レグナルトや中村恭の登板数は増えた。助っ人は米国時代より前倒しで調整しており、春先から好調。だがスタミナは続かない。7月は球のキレがなくなっているのは明らかで月間防御率11・42だった。中継ぎとしてブレークした中村恭は左肘痛などで抹消された。
中継ぎは毎日、ブルペンで肩をつくる。1試合で5度、準備した選手がいる。試合展開によってはマウンドに上がらない日も。精神面も含め過酷なポジションだ。先発から中継ぎにまわったある投手は「本当にきつい」ともらしたことがある。
1年間、1軍で投げ続けたのは、楽天から移籍してきた菊池保の1人だけ。今村や中田など昨季までのリーグ3連覇に貢献した実績組は、状態を上げられなかった。結果的に選手層に厚みを持たせることができなかった。