【緒方カープの誤算5】序盤で負の連鎖を脱却できず…

 緒方監督は就任時から「投手を中心とした守り勝つ野球」と言い続けてきた。だが、リーグ4連覇を逃した今季。守備に安定感を欠き、スタートダッシュに失敗した。5月には球団月間最多記録の20勝と巻き返したが、V逸が決まった9月19日・DeNA戦後に高ヘッドコーチが「守備が乱れてドタバタしてしまった」と今季の敗因に挙げた開幕から5カード連続負け越しは重く響いた。

 開幕カード1勝1敗で迎えた3戦目、3月31日・巨人戦。3-3で迎えた九回、先頭・ビヤヌエバの打球を安部が捕球し損ねるなどチームで1イニング3失策。いずれも失点につながっており、この回3点を奪われカード負け越しへ直結した。

 その後もミスは続く。4月10日・ヤクルト戦では延長十回に3失策を含んだ12失点を喫する大敗だった。開幕から11試合で17失策は、当時両リーグワースト。開幕から4カード連続負け越しから優勝した球団が2リーグ分立後過去にないことから、「V率0%」のデータも浮上してしまった一戦だった。

 新井、エルドレッド、丸が抜けたことを除けば、シーズン序盤のスタメンの顔ぶれは昨季までとほぼ変わりなかった中での出来事。「連鎖反応。緊張してみんな硬くなって入っていた」と高ヘッドコーチ。山田内野守備走塁コーチも「エラーが重なると自然と硬くなる。届くのがもう半分届いてなかったりということもある。意識しなくても自然となる」と振り返った。なかなか負の連鎖を脱却できない序盤が続いた。

 26日現在で87失策。守備固めも敷き、リーグワーストからは脱した。ただ、8月10日・阪神戦(京セラ)でのこと。三回までに5点を奪い、3点をリードしていた。六回はメヒアから三好に、七回には松山から野間に交代して守備を厚くした一方、追加点を奪えず2点リードの九回に逆転3ランを食らいサヨナラ負けを喫した。試合前まで首位・巨人に1・5ゲーム差に迫っていたが、そこからどんどん背中が遠のいてしまった。

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