薮田“復肩”フォーム 佐々岡監督も期待「復活してもらわないといけない投手」
広島の薮田和樹投手(27)が12日、復活への手応えを感じ始めた。マツダスタジアムでの秋季練習に参加。ブルペンで141球を投げ込み、下半身の使い方に方向性が見えてきた。佐々岡新監督が先発候補の1人として名前を挙げる右腕。わずか4試合の登板に終わった今季の悔しさを晴らすために鍛錬の秋を歩む。
心地良い疲れを感じていた。秋季練習の第1クール最終日。帰宅の途に就く薮田の表情は充実感に満ちていた。141球の熱投。佐々岡新監督が見つめる中で投じた直球は復活への道を照らしていた。
「下半身の使い方で、新しく取り組んでいるものがある。100球を過ぎた辺りから良い感触がありました」
プレートの一塁側を踏む右腕にとっての課題は、左打者と対峙(たいじ)したときに引っ掛けてしまうことだった。「外角を狙った球が中に入ってしまうことが多かった」。今秋は下半身の動きを見直し、体の開きを抑えるフォームを身に付けることをテーマに掲げる。
秋季練習初日の9日はトルネード気味のフォームで76球。この日はひねる角度を小さくして投げた。体の動かし方についてアドバイスをもらっている三浦アスレチックトレーナーには「良くなったと言ってもらいました」という。今後は安定感を求めて継続していく。
制球力の課題に加え、今季は球威不足に悩まされた。150キロ超が当たり前だったが、今季は147キロが最速だった。指先の感覚には物足りなさがある。それだけに1年目から指導を受けてきた佐々岡新監督の就任は、右腕にとっても心強い。9日の初ブルペン時には上半身と下半身の連動性について助言を授かり、この日の投球練習に生かした。
17年に15勝3敗で最高勝率のタイトルに輝いた右腕は、ここ2年は不本意な成績に終わった。18年は2勝、今季も4試合で0勝2敗だった。松田オーナーが「岡田と薮田を復活させないと安定した戦いはできない」と期待を寄せる。V奪還を目指すチームにとって、キーマンの一人であることは間違いない。
佐々岡監督も「今、やっていることをキャンプのマウンドで出せるか。まずは先発の中で復活してもらわないといけない投手なんだから」と奮起を促す。薮田は今後も1クール4日中、2度ブルペンに入る予定だ。「体に染みこませたいんです」。投げて、投げて、迷いのないフォームをつくり上げていく。