野村 FA権行使も…ラスト交渉結論出ず にじむ苦悩「早く決断できれば」
今季国内FA権を取得した広島・野村祐輔投手(30)が25日、マツダスタジアムでの秋季練習後、球団と3度目の交渉に臨んだが、権利行使について最終結論は出なかった。申請の締め切りが11月1日に迫る中、野村はこの日が球団と最後の交渉であることを示唆。3連覇に大きく貢献した右腕が権利を行使する可能性が出てきた。
いつも爽やかな野村の顔に苦悩の色がにじんだ。約2時間のロングラン交渉を終えても最終結論は出ず。野村は慎重に言葉を選び、「全部が全部、そういう話じゃないですけどね。球団といい話をさせてもらいました。期間もないので早く決断できれば」と言った。
交渉の内容や条件は「言えないです」と口を閉ざしたが、最終的な結論には近づきつつあるようだ。悩んだかと問われると「悩みました」と明かし、「こういうことはなかなかない。いろいろ考えるチャンス」と続けた。
球団の誠意は感じている。すでに佐々岡新監督から電話で残留ラブコールを受け、この日の交渉でも鈴木球団本部長から「今までもこれからもローテとしてしっかりまわってほしい」とねぎらいと期待の言葉をかけられた。「普段はこういう話はできない。たくさんお話しさせていただいたので、すごく良かった」と感謝した。
ただ、FA権行使の申請締め切りが11月1日に迫る中、球団との再交渉は白紙だ。野村は「(次回は)今のところない。今日で最後?そうなると思います」とこの日がラストであることを示唆し、近日中にも権利行使の申請を行う可能性が出てきた。
野村は広陵から明大を経て、11年度ドラフト1位で入団。プロ1年目に9勝11敗、防御率1・98の好成績で新人王に輝くと、16年には16勝(3敗)を挙げ、最多勝、最高勝率のタイトルを獲得。ローテの一角として、3連覇に貢献してきた。今季は18試合の登板で6勝(5敗)にとどまったが、通算71勝を誇る右腕がFA権を行使すれば、複数球団による争奪戦に発展する可能性が高い。
交渉後、鈴木球団本部長は「基本的に何も言うつもりはない」と繰り返し、「長い時間いろいろ話ができた」と収穫を強調。一方で「彼の権利だから」と苦悩も理解し、「今日のところは何も動きはないということです」と話すにとどめた。
レギュラーシーズン終了から約1カ月。悩み抜いた末に導き出す野村の答えに、注目が集まる。