長野、FAせず残留「紙提出しました…ウソです」 佐々岡監督もひと安心
海外FA権を保有している広島・長野久義外野手(34)が1日、広島市内の球団事務所で球団と交渉を行い、FA権を行使しないことが決まった。球団も慰留に努めていた中、残留を決意した。移籍1年目の今季は悔しい結果に終わったが、佐々岡新監督は長野に来季チームのけん引役を期待した。
FA申請締め切り日。長野はユーモア交じりの“らしさ”をかいま見せながら、決断を明かした。「(FA申請の)紙を提出してきました」と神妙な面持ちで話したが、直後に「ウソですよ」とニヤリ。「紙は出していないです」とFA権を行使しないことを、ハッキリとした口調で話した。
国内FA権は2016年に、海外FA権は18年に取得。10月11日の初交渉から複数回、球団と膝を突き合わせてきた。来季も広島に貢献したい思いかと問われると「もちろん」と言い切る。球団からは契約についての提示も受けており「細かい条件はこれからです」と今後を見据えた。
この日、秋季キャンプ地・日南入りした佐々岡監督も、長野の残留にひと安心だ。「また引っ張ってもらいたい。まだ力がある。チームにとっても大きい」。実績や経験、人柄、長野の存在は多方面にわたってチームにプラスになる。それだけに、残留への“ラブコール”を本人に送っていた指揮官は、来季プロ11年目のベテランに大きな期待を寄せた。
慰留に努めていた球団も主力として働く思いを寄せる。交渉役となった鈴木球団本部長は「引き続きうちでやってくれる意思をもらったことで、楽しみが増えた」とうなずく。さらに「彼にはレギュラーとしてやってもらいたいという話はしている。(レギュラーの)一角を取れる選手だと思ってるから期待する。より、チャンスに強い選手になってほしい」と、願いを口にした。
巨人にFA移籍した丸の人的補償として加入した今季は、自己最少の72試合の出場で打率・250、5本塁打、20打点。シーズン終盤は4番や5番に座り存在感を発揮したが、「チームが勝てなかったことがすごく悔しいですし、個人的にもふがいないシーズンでした」と率直な思いを口にした。
チームとしても4位だった今季から巻き返しを狙う来季。移籍2年目の長野が、シーズン通して躍動する姿を見せてくれるはずだ。