堂林「来年こそ」鯉党を笑顔に 現状維持1600万円で更改

 広島の堂林翔太内野手(28)が13日、秋季キャンプ地の宮崎県日南市で契約更改交渉に臨み、現状維持の1600万円でサインした。今季は故障もあり、28試合の出場にとどまった。今秋は打力強化や二塁挑戦などさまざまな取り組みで汗を流す。来季こそチームの期待に応え、鯉党を笑顔にする。(金額は推定)

 チームからの期待を感じ取っていた。現状維持で来季の契約を更改した堂林は、真っすぐ前を見つめながら言葉を紡ぐ。今季は28試合の出場にとどまり、打率・206。本塁打は2年連続で0本に終わった。強い思いを持って臨む2020年シーズンだ。

 「毎年、期待してもらっているので、来年こそは、その期待に応えたい」

 2度の2軍降格を味わい、2軍では下半身の故障でリハビリに時間を費やした時期もあった。それでも9月12日の中日戦では自身3本目となるサヨナラ打で劇的勝利を呼び込んだ。

 「唯一、貢献した試合だった。サヨナラヒットはたくさんのファンの方の前で打てた。泣いている方もいて。(来年は)もっと喜ぶ顔をたくさん見られるように頑張りたい」。苦しい時期を過ごしていただけに喜びは格別。新たなモチベーションにもなった。

 秋季練習から自身の可能性を広げ、出場機会を増やす狙いで、本格的に二塁でノックを受ける。だが「やっぱり打たないとこのチームでは試合に出られない」と力を込めた。

 この日の紅白戦では紅組の「5番・二塁」で出場し、2安打1打点。二回に左翼線へ二塁打を放つと、五回1死満塁ではフルカウントからバットを折りながら左前適時打で追加点を奪った。「1本目は真っすぐを一発で仕留められた。満塁のときは、どうしても1点が欲しかった場面。何でも良かった」。泥くさく食らいついてアピールした。

 打撃には課題もある。迎打撃コーチは「トップを作るときに右肘が捕手方向ではなく背中側に入る」と言った。紅白戦後には室内へ移動し、2日連続で特打を敢行。約40分、黙々とバットを振る背中に、来季へかける思いがにじんだ。

 来年で29歳。11年目のシーズンを迎える。背番号7は「活躍したいという気持ちはもちろんあるし、勝って喜ぶチームメートの輪に入りたい」と偽らざる思いを口にした。まぶしい照明を浴びて躍動するために、鍛錬の秋を過ごす。

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