佐々岡新監督 一体感でV奪還 投打積極補強!強い強い赤ヘル復活へ
広島が佐々岡真司新監督(52)の下、V奪回と日本一に挑む。昨季は4年ぶりBクラスに沈み、リーグ4連覇を逃した。新指揮官は投手陣再建へ明大・森下暢仁投手(22)をドラフトで単独1位指名。さらにホセ・ピレラ外野手(30)、DJ・ジョンソン投手(30)、スコット・テイラー投手(27)と3人の外国人選手を補強した。就任以来、掲げる「一体感」でチームをまとめ上げ、頂点へ突き進む。
新年を迎え、佐々岡新体制が本格的に始動する。昨季はリーグ4連覇を逃してBクラスに転落したが、オフは明るい話題が満載だ。国内FA権を取得していた会沢、野村が早々に残留を表明。ポスティングシステムを利用してメジャーリーグ移籍を目指していた菊池涼も年の瀬に残留を発表した。鯉将が掲げる「一体感」のスローガンの下、赤ヘル復活の予感が漂っている。
就任直後、指揮官はすぐさま動いた。監督初仕事となったドラフト会議で松田オーナーに即戦力投手の獲得を熱望。明大・森下の単独1位指名に成功すると、秋季キャンプでは昨季未勝利に終わった岡田の中継ぎ転向を決めた。助っ人補強もブルペン強化を要望。セットアッパー、クローザー候補のDJ・ジョンソンとテイラーの剛腕2人を獲得し、投手陣再建に取り組んだ。
佐々岡構想の根底に昨季1軍投手コーチとして体感した現代野球の変化がある。投手は先発、中継ぎの分業制が進み、セットアッパー、クローザーは軒並み150キロ台を計測。打者も速球を打ち返すパワーを備えている。近年、交流戦、日本シリーズでセ・リーグを圧倒するパ・リーグの野球に対抗するためには1点を守り抜く野球だけでは勝てないと痛感。打線は4番鈴木誠を軸に、新助っ人ピレラらが候補となるクリーンアップの長打で大量得点を狙っていく。
日本一への思いは人一倍強い。西武と激突した1991年の日本シリーズ。第1戦に先発した佐々岡監督は秋山、清原、デストラーデの一発攻勢に沈み、黒星を喫したが、中3日で先発した第4戦は8回3失点の好投で一矢報いた。そして3勝3敗で迎えた第7戦。最終決戦で再び佐々岡監督は先発を任された。しかし、1点リードを守り切れず五回途中で降板。チームも敗れ、悔し涙をのんだ。
プロ18年間の現役生活では通算100勝100セーブをマーク。沢村賞など輝かしい実績を残したが、91年のリベンジはかなわず、ユニホームを脱いだ。あれから29年、指揮官として、雪辱を果たすときが訪れた。愛するカープ、愛するファンのため、広島の街をもう一度、真っ赤な歓喜に染め上げる。
◆佐々岡真司(ささおか・しんじ)1967年8月26日生まれ。島根県出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。浜田商からNTT中国を経て、89年度ドラフト1位で広島入団。2年目の91年に17勝を挙げ、リーグ優勝に貢献した。99年5月8日・中日戦でノーヒットノーラン。タイトルは最優秀防御率、最多勝、MVP、ベストナイン、沢村賞(いずれも91年)。2007年現役引退。通算成績は570試合138勝153敗106セーブ5ホールド、防御率3・58。野球評論家を経て、15年から広島2軍投手コーチ。昨季は1軍投手コーチを務めた。