広島・大瀬良が「真のエース」になるためには…通算213勝のOB北別府氏が語る
2020年、広島はチーム53年ぶりとなる投手出身の佐々岡真司監督が就任し、V奪還を目指す。投手陣の中では、3年連続2桁勝利を挙げた大瀬良大地投手にエースの期待がかかる。新年早々、大瀬良は「真のエースを目指す」と宣言。今年からデイリースポーツウェブ評論家となった広島OBで通算213勝を挙げた名球会投手の北別府学氏が、エースとしての条件を示した。
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年齢的にもチームを引っ張っていく存在になった。エースとは球速、球種、球質すべての点で他者を上回り中心となる存在である。結婚した事で更に責任感が強くなり、オレが引っ張っていかないといけないという気持ちになったと思う。
昨年も開幕投手を務め、ローテーションの中心としてジョンソンと並ぶチーム最多の11勝を挙げた。中盤以降は勝ち星が伸びなかったが、ここというときに一発を食らう場面があった。追い込んでからの失投だと思うが、ボールが高い分、今の打者は昔に比べて長打を打つので気をつけないといけない。
15勝を挙げた一昨年より打線の援護がなかったことも白星が伸びなかった要因でもある。そんな中でもエースなら自チームの打線と相手打線の計算をしながら投げないといけない。
例えば相手が巨人の菅野だったら2点勝負になる。初回に1点取られたら二回以降は無失点でいくとか、3点取られたら負けるという計算をして投げないといけない。これまでは調子がいい悪い、流れに任せて勝ち負けの結果が出ていたが、エースになって数字を残すためには、相手を見ながら先を読んで投げる必要がある。
また、中継ぎや抑えが3日連続で投げているときなどは、完投を意識して投げることも必要だ。昨年はリーグトップの6試合に完投した。今の野球は先発、中継ぎ、抑えの分業制になっているが、佐々岡新監督になって先発投手をわりと引っ張るようにも思う。六回につかまって失点しても七回に立ち直って、ベンチが「完投させよう」と思えるように、粘れる投手になってもらいたい。
真のエースたるもの常に勝ち星が先行するように努めていって欲しいと思います。
◆北別府 学(きたべっぷ・まなぶ)1957年7月12日生まれ。62歳。鹿児島県出身。宮崎・都城農業高から75年度ドラフト1位で広島入団。78年から88年まで11年連続2桁勝利達成。82年に20勝。86年は18勝でリーグ優勝に貢献した。最多勝2回、最優秀防御率1回、最高勝率3回、MVP1回(86年)、沢村賞2回(82、86年)、ベストナイン2回(82、86年)、ゴールデングラブ1回(86年)、オールスター出場7回。通算515試合213勝141敗5セーブ、防御率3.67。94年に現役引退後、01~04年まで広島投手コーチを務めた。12年に野球殿堂入り。野球解説者として活躍する一方でブログやユーチューブでの情報発信や、高校野球コーチ、菜園管理など活動は多岐にわたる。