北別府氏白血病 21日入院「完治すれば勇気与えられる」鯉の大投手、病も完封じゃ
広島の元エースで通算213勝を挙げた北別府学氏(62)=野球評論家=が20日、コメンテーターとして生出演した広島ホームテレビ「みみよりライブ 5up!」で「成人T細胞白血病」であることを公表した。2年前に別の検査で判明し、昨年11月の検診で数値が上昇。21日から広島県内の病院に入院して抗がん剤治療を開始し、その後はドナーから提供を待って骨髄移植を受ける予定だ。
突然の発表だった。番組の終盤。北別府氏が自らの状況を語り始めた。いつもと同じ優しい表情ながら、発せられたのは衝撃の告白だった。
「2年ほど前に成人T細胞白血病という診断を受けました。数値が上がらなければ大丈夫だったんですが、毎月、血の検査をして、昨年11月から数値が上がりだした。化学治療に踏み切ろうかということになりました」
2年前、違う病状で検査を受けたときの血液検査で発覚した。白血病に見られるようなけん怠感や発熱などの症状は見られなかったため驚いたという。その後は、白血球の数値が治療を受けるまで高くなかったことから、月1度の定期検診で経過観察してきた。
この日、テレビ出演を終えたあと本紙の取材に応じた際も「前兆はなかった。微熱も全然なくて。だから初めて聞いた時は『何ですか、それ?』という感じだった」と振り返った。
昨年11月の検査で数値の上昇が確認されたことで医師と相談し、治療を行うことが決まった。「いよいよ治療をしないといけないと言われた時は、ちょっとね。心の準備はできていたつもりだけど、やっぱり食欲も落ちたし口数も減ったんだよ」。それでも年が明けると気持ちは前向きになり、「ようやくスタートラインに立った」と言えるようになった。
21日から広島県内の病院に入院し、抗がん剤治療が始まる。無菌室にも入る。そして定期的に化学治療を受けながら白血球の数値を抑え、ドナーからの骨髄提供を待つという。
「昔は不治の病と言われたけど、今は生還している人もたくさんいるからね」。昨年12月には「急性リンパ性白血病」と診断された競泳女子の池江璃花子が退院を発表した。「僕も勇気をもらったから。僕が完治をすれば、同じ病気の人に勇気を与えられるかもしれない」と力を込めた。
現役時代に数々の試練を乗り越え、通算213勝を挙げた大投手はこの日、テレビ局から帰宅する際の最後に「行ってきます」と結んだ。前向きな言葉に、病気に打ち勝つという強い意志が込められていた。